【企業・従業員】テレワークのメリットとは?デメリットの解決策も
自社にテレワークを導入したいと思っても、具体的にどのようなメリットやデメリットがあるのかをきちんと把握していない人も多いと思います。
テレワークには、企業側・従業員側それぞれの立場から異なったメリットとデメリットがあります。
どのようなメリットがあるか、そしてデメリットをどう解消するかを知らずにテレワークを導入してしまうと企業全体の生産性が下がる要因となりかねません。
この記事では、テレワーク導入のメリット・デメリットを、企業側と従業員側それぞれの立場から紹介します。
デメリットの解消法もあわせて紹介するので、テレワークを導入して生産性を上げたい経営者や、テレワーク導入が決まって準備が必要な従業員の方はぜひ参考にしてください。
テレワークとは?
テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用し、時間と場所の制約を受けない柔軟な働き方のことです。
生産年齢人口の減少による労働不足の解消や、新型コロナウイルスの感染拡大を解決する手段として政府が推奨しており、大企業のみならず中小企業でもテレワークが浸透しています。
テレワーク導入の主なメリットとして、ワークライフバランスの実現や業務効率化が注目されますが、デメリットもあるのも事実です。
導入の際はデメリットに対する解決策を合わせて検討する必要があります。
テレワークによる企業側のメリット
テレワークを導入すると、企業と従業員の双方にさまざまなメリットをもたらすでしょう。ここでは、企業側のメリットとして次の6つを紹介します。
- 優秀な人材を確保しやすくなる
- 離職防止になる
- コストを削減できる
- 事業継続性を確保できる
- 企業イメージがアップする
- 社内のデジタル化が進められる
優秀な人材を確保しやすくなる
近年、ワークライフバランスを重視して仕事を選ぶ人が増えています。
趣味のための時間や、家族と過ごす時間を大切にしたいと考える求職者にとっては、テレワークに対応している企業のほうが魅力的に感じるでしょう。
また、オフィスに通勤する必要がなければ、地方の優秀な人材へもアプローチをかけられます。企業にとっては、応募人数が多ければ多いほど、優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。
離職防止につながる
新たに優秀な人材を採用することも重要ですが、在職中の人材の流出を防止することも重要です。
育児や介護で通勤が困難になり、仕事と両立ができずに退職せざるを得ない人もいるでしょう。病気などの理由で定期的に出社できない従業員もいるかもしれません。
テレワーク導入により通勤が不要になることで、時間に余裕ができ、働きやすくなります。
働きやすい企業になれば、従業員満足度が向上して離職率の低下につながるでしょう。
コストを削減できる
テレワークを導入すると、さまざまなコストを削減できるでしょう。
通勤する従業員が減るため、オフィスの規模を縮小できます。従業員一人ひとりの作業スペースおよび椅子や机などの備品が少なくなり、オフィスの賃料や備品購入費を大幅に削減できるでしょう。
オフィスに固定席を設けず、出社した従業員が好きな席で働くフリーアドレス制にすれば、無駄なスペースを削減できます。土地が安い郊外へオフィスを移転することもできるでしょう。
オフィスの賃料だけではなく、通勤コスト、光熱費、電気代も削減できます。
事業継続性を確保できる
自然災害時は、公共の交通機関が機能せず、オフィスに出社できなくなる場合があります。
そのような状況でも、自宅で業務を継続できる環境を用意しておくことが大切です。
また、感染症の感染拡大時にも、テレワークは非常に有効です。
オフィス内で感染者が発生すれば、出社することでさらに感染を拡大させてしまい、通常通り事業が継続できなくなる可能性もでてきます。
従業員が出社せずに仕事ができるテレワーク環境を整備しておけば、感染リスクから従業員を守ることができ、さらに事業継続対策につながります。
企業イメージがアップする
テレワークは、企業のブランディングとしても有効な手段といえるでしょう。
政府が推進するテレワークを導入することで、先進的な企業であると認識され、企業のイメージの向上が期待できます。
柔軟な働き方ができる企業のイメージはプラスに働き、応募人数が増えれば、優秀な人材を集めやすくなります。
また、テレワークによって従業員の自由度も高まるので、「従業員想いの企業」という印象をもたれるでしょう。
社内のデジタル化を進められる
テレワークの導入を成功させるには、Web会議ツールやビジネスチャット、オンラインストレージなどのデジタルツールをいかにうまく活用するかが鍵となります。
例えば、紙の書類への捺印作業をオンライン上の電子証明で完結させたり、資料をデジタル化してオンラインストレージに移行させたり、オフィスにいなくてもすべての業務が遂行できる環境を整えなければなりません。
テレワークのためにこれらを導入することで、社内のデジタル化が加速するでしょう。
テレワークによる従業員側のメリット
ここでは、従業員にとってのメリットとして次の5つを紹介します。
- 通勤のストレスが減る
- ワークライフバランスが実現する
- 空いた時間を活用できる
- 生産性が上がる
- 仕事へのモチベーションが上がる
通勤のストレスが減る
満員電車や交通渋滞など、通勤にストレスを感じる人は多いのではないでしょうか。
通勤時間が長い人ほど早起きをしなければならず、睡眠時間が削られてしまいます。服装や身だしなみにも気を使わなければなりません。
通勤する必要がなくなれば、上記のようなストレスから解放されるでしょう。
時間に余裕ができた分、プライベートが充実し、仕事にも集中できるようになります。
ワークライフバランスが実現する
通勤がなくなることで、ワークライフバランスが実現しやすくなります。
テレワークを導入すれば、育児や介護など時間に制約がある従業員でも無理なく活躍しやすくなるでしょう。
育児をしている従業員なら、子供の様子を近くで確認しながら仕事ができることは大きなメリットになり得ます。
また実家で遠距離介護が必要になった場合も、PCとネットワーク環境があれば仕事をすることができます。
空いた時間を活用できる
通勤時間がなくなることにより、その分趣味や家族との時間が取りやすくなるでしょう。また、空いた時間を自己啓発や副業などに取り組む時間に充てることも可能です。
キャリアアップにつながる専門知識を深めるのであれば、資格取得のための勉強に時間を充てるのもよいでしょう。
新たなスキルを習得して副業を始めることもできます。本業で収入を得ながら、空いた時間で副業に取り組めば、その経験が本業に良い影響をもたらすかもしれません。
生産性が上がる
オフィスで仕事をしていると、同僚や上司の目が気になる人もいるのではないでしょうか。従業員同士の話し声や電話などの雑音が気になることもあるでしょう。
必要以上に気にしすぎると、本来のパフォーマンスを仕事に発揮できないかもしれません。
テレワークは同僚や上司とは別の空間で業務に取り組むため、同僚に質問されたり、上司に急な業務を頼まれたりすることがなくなります。
人目や雑音を気にせず業務に集中できるので、生産性向上につながるでしょう。
仕事へのモチベーションが上がる
テレワークによって通勤ストレスや負担が軽減され、ワークライフバランスが実現しやすくなります。
従業員が「ワークライフバランスが向上した」と実感すれば、企業に対する従業員満足度の向上が期待できるでしょう。
会社への信頼度が高まると、従業員の自発的な貢献意欲も高まり、結果的に仕事へのモチベーションアップにつながります。
テレワークによる企業側のデメリット
このように、良いこと尽くしに見えるテレワークですが、デメリットもあります。
コロナ禍でテレワークが浸透したことで、企業間で共通するデメリットもみえてきました。ここでは企業側のデメリットを3点紹介します。
- 従業員の勤怠管理やマネジメントが難しい
- プロジェクトやタスクの管理がしにくい
- セキュリティリスクが高まる
従業員の勤怠管理やマネジメントが難しい
テレワークでは、従業員は上司の目が届かない場所で業務を行うため、誰が・いつ・何時間勤務したか正確な勤怠状況の把握が難しいとされています。
ベントビューアやManicTimeなどを導入すれば、従業員のPC利用時間を記録できるため、客観的に勤務時間を確認できるでしょう。
また、テレワークでは業務の可視化が難しいため、部下のマネジメントや評価もしづらくなります。従業員によっては、孤独感や不公平感を覚える場合もあり、企業への帰属意識も低下するかもしれません。
プロジェクトやタスクの管理がしにくい
テレワークの場合、対面でのコミュニケーションが前提ではないため、プロジェクトやタスク管理がしにくくなる可能性があります。
オフィスで顔を合わせていれば、プロジェクトのちょっとした確認事項も口頭で済ませられますが、テレワークの場合は報告・連絡・相談がしづらくなるでしょう。
また、情報を共有しない従業員がいれば、タスクの進捗状況が把握できなくなります。
テレワークには、プロジェクトタスク管理ツールが有用となるでしょう。進捗やタスクの記入ルールを決めておけば、お互いの進捗状況を確認しやすくなります。
セキュリティリスクが高まる
テレワーク中の従業員は、企業が貸与するPCを持ち帰り、オフィス以外のさまざまな場所で企業のサーバーにアクセスするため、セキュリティリスクが高まります。
またPCをオフィスから持ち出すので、盗難や紛失のリスクがつきまといます。カフェにPCを置き忘れて紛失するなどのトラブルが考えられるでしょう。
さらにカフェやホテルなどの安全性の低いWi-Fiを利用した場合、ウイルス感染や不正アクセスによる情報漏洩の危険性が高まります。
顧客情報が漏洩した場合、顧客の信頼を失うことになりかねません。
テレワークによる従業員側のデメリット
次に従業員側からみたデメリットを4点紹介します。
- 社内コミュニケーションが不足する
- 自己管理能力が必要となる
- 仕事の環境が整っていない
- 運動不足により不健康になる
社内コミュニケーションが不足する
テレワークを導入すると、社内で顔をあわせる機会が減り、コミュニケーションが不足することが考えられます。
オフィスにいれば当たり前だった休憩中の同僚との雑談も、テレワークではできなくなり、その結果チームワークが低下するかもしれません。
特に新入社員にとっては大きなデメリットになりえます。上司や先輩とのコミュニケーションが取りづらくなれば、仕事を覚えるスピードも低下し、会社に馴染みにくいでしょう。
自己管理能力が必要となる
テレワークは、従業員一人ひとりの自己管理能力が必要です。上司や同僚の目が届かない場所で仕事をするため、人によっては怠けて生産性が落ちる場合があります。
在宅勤務の場合、家族と同じ空間で仕事をするため、仕事とプライベートの切り替えが難しいでしょう。
スマホ、テレビ、漫画などの娯楽の誘惑に負けてしまい、仕事が予定通り終わらないかもしれません。
反対に、働きすぎてしまう人もいるでしょう。成果を出すために仕事を多く引き受けてしまい、残業が増えてしまうことが考えられます。
仕事の環境が整っていない
自宅に仕事の環境が整っていなければ、業務効率が悪くなることが考えられます。
仕事用のデスク・モニター・椅子が整った十分な作業スペースがなかったり、ネット環境が不十分であったりした場合、なかなか仕事モードに切り替えられない人もいるはずです。
テレワーク中に同居している家族が話しかけてきて集中力が妨げられたり、家庭の用事で業務が中断されたりすると、スケジュール通り仕事が進まないこともあります。
運動不足により不健康になる
テレワークが中心になると、家から出なくなるうえに着座姿勢が続くので、腰痛や肩こりを引き起こす可能性があります。PC業務に適していない机・椅子の使用が、体調不良の原因になるかもしれません。
意識的に運動をしなければ、筋肉量が低下し、血液の循環が悪くなって身体の不調をもたらすリスクを高めます。
さらに生活習慣病のリスクが増加し、深刻な病気の原因になる可能性もあるため、注意が必要です。
テレワークのデメリットを解消する方法
テレワークのデメリットを解消する方法を4つ紹介します。
- テレワークのルールを作る
- 社内SNSを活用する
- ITツールやサービスを導入する
- 自宅の仕事環境を整える
テレワークのルールを作る
テレワークのデメリットのうちいくつかは、ルールを決めることで解消できる可能性があります。
勤怠ルールを決め、評価基準を明確にし、従業員全員に周知徹底しましょう。「テレワークでは正当に評価してもらえないのでは?」といった不安を払拭できるかもしれません。
セキュリティ対策として、従業員にテレワークによるセキュリティリスクをしっかり認識してもらい、可能な限りリスクを減らすためのルールを設ける必要があるでしょう。
社内SNSを活用する
前述の通り、テレワークが中心になると、対面でのコミュニケーションができなくなり、社内のコミュニケーションが不足しがちになります。
コミュニケーション向上を図るための対策として、社内SNSやチャットツールの利用が有効です。
社内SNSとは、社内版「Twitter」や「LINE」のようなもの。チャット機能やファイル・動画を大量に送付できるアップロード機能など、コミュニケーション不足を解消できる機能が満載です。
ITツールやサービスを導入する
従業員がテレワークで業務を円滑に行えるように、さまざまなITツールやサービスの導入が必要になるでしょう。
オンラインで打刻ができるクラウド型勤怠管理ツールや、画面共有・会議の録音ができるWeb会議ツール、単純業務をロボットに任せる業務自動化ツール、オンラインストレージを利用したファイル共有ツールなど、さまざまなツールが提供されています。
自社にとってどのツールがテレワークのデメリットを解消できるか、さまざまなITツールを比較検討しながら、導入を進めることが大切です。
自宅の仕事環境を整える
オフィスでは、業務に必要な備品や空間を企業が提供してくれますが、自宅の仕事環境は従業員自ら準備しなくてはなりません。
テレワークを行う従業員は、自宅に作業スペースを確保して、可能な限り快適な業務環境を整えましょう。在宅で問題なく業務を行うために用意すべきものには、次のような備品があげられます。
- PC(企業から支給されていない場合)
- インターネット環境
- デスク
- 椅子
- モニター
- Webカメラ
- マイク
テレワークでも疲れないおすすめの椅子3脚
身体に合わない椅子を長時間使用していると、肩や腰に負荷がかかりやすいです。
ここではテレワークに最適な疲れにくい椅子を3脚紹介します。可能であれば、実際に座ってみて心地よい椅子を選ぶとよいでしょう。
ゲーミングチェア(GTRACING)
「ゲーミングチェア(GTRACING)」は、プロゲーマー向けのチェアですが、仕事用のチェアとしても適しています。
人間工学に基づいて設計されており、良い姿勢を保てる機能が充実したチェアです。
3Dヘッドレストは着脱可能で、ユーザー好みのフィット感に調節可能。首まで支える背もたれが心地よく背中をホールドしてくれます。
また、ランバーサポートが腰をサポートしてくれるため、理想的な着座姿勢を保つことができるでしょう。
イームズ アルミナムチェア(システムK)
「イームズ アルミナムチェア(システムK)」は、アメリカのデザイナーであるチャールズ&レイ・イームズが1958年に発表した「アルミナムチェア」を再現したリプロダクト品です。
無駄のないすっきりとしたシルエットがシャープな印象で、モダンなインテリアと合うでしょう。
背面の高さは約60cmのハイバックで、カーブした背もたれが体にフィットします。キャスターはポリウレタン製で、フローリングの床でもキズがつきにくいでしょう。
無印良品 ワーキングアームチェア(良品計画)
「無印良品ワーキングアームチェア」は、1万円以下の手頃な値段と、無印良品らしいシンプルなデザインが魅力です。
通気性のよいメッシュ素材を使用しているので、長時間座った際のムレが気になる人におすすめ。また、ウレタン素材の座面もクッション性があり座り心地が快適です。
座面やアームの高さは以下の範囲で調節可能なので、好みに合わせて調整しましょう。
- 座面:43cm~53.5cm
- アーム(座面上部からアーム上部まで)4段階調節:18cm~25cm
テレワークのメリットを上手に活用しよう
テレワーク導入のメリット・デメリットを、企業側と従業員側それぞれの立場から紹介しました。
上手に活用できれば、テレワークは生産性の向上やワークライフバランス実現のために有効な働き方の一つといえるでしょう。
テレワークの導入を成功させるためには、企業と従業員がお互いのメリットを最大化できるように努めることが大切です。
企業は、最適な外部ツールやサービスを活用し、従業員が働きやすい環境を整える必要があります。
従業員側も、自宅でもオフィス同様のパフォーマンスを発揮できるように、自宅の作業環境を整えることが重要です。
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メリットが大きいテレワークですが、記事でお伝えした通り、企業・従業員それぞれの立場で異なるデメリットがあるのも事実です。実際に導入すると、さまざまな課題に直面する企業も少なくありません。
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