アカウント管理の自動化システム10選|一元管理を可能に
情報システム部門の業務のなかでもアカウント管理に煩雑さを感じ、自動化を検討している企業の方は多いのではないでしょうか。増え続けるSaaS、テレワークなどによりさらに複雑化するアクセス端末の問題など、アカウント管理の問題は絶えません。
解決策としては、アカウント管理の自動化に対応したシステムを導入し、アカウントの一元管理を達成することです。導入しなければ煩雑さだけが増幅し、情報システム部門のコア業務を逼迫することになりかねません。
本記事に掲載した情報を元に、アカウント管理の自動化をご検討ください。
アカウント管理とは
アカウント管理とは、社内システムやソフトウェアの利用に必要なID・パスワードを設定し、限られた利用者だけがアクセスできるように管理する業務のことです。
適切な管理はセキュリティ対策に繋がり、アカウントの乗っ取りによる悪用や機密情報の漏洩などのリスクを低減できます。
これまで、Excelなどを用いた手動での作業がメインだったアカウント管理ですが、コロナ禍によりテレワークが急速に普及したことで、情報セキュリティに対する企業意識が向上。
業務の煩雑化や人為的ミスが起こりやすい手作業での管理ではなく、ツールを活用したアカウント管理の自動化を検討する企業が増えています。
アカウント一元管理の重要性
IDとパスワードは、社員の入社・異動・退職に応じて、新規発行や削除を適切に行わなければなりません。しかしユーザー情報は、一人ひとりが複数保有するケースがほとんどです。これを1件ずつ手作業で管理するとなれば、担当者の業務負担は膨大となるでしょう。
特に人の入れ替わりが激しい企業やシーズンでは、十分な管理が行き届かず、ミスが発生する可能性が高まります。こうしたリスクを防ぐうえで、アカウントの一元管理が重要です。
たとえば「Active Directory」では、複数サービスで個別に設定していたID・パスワードを、ユーザーごとに一括して管理できるようになります。また、管理者権限も同じく一括設定できるので、設定ミスや業務負荷の削減が可能です。
アカウント管理の自動化とは
利用するサービスによっては、「Active Directory」の連携対象に含まれず、アカウントを一元管理できない場合があります。そうなると、従来どおり管理者によるサービスごとのアカウント管理が必要です。
そこで、プロビジョニング機能を備えたID管理システムを導入すれば、アカウント情報の作成や変更を行った場合に、連携対象システムへ情報が自動的に反映されます。個別に変更する必要がなく一度の更新で済むため、管理工数を大幅に減らせるでしょう。
アカウント管理の自動化は、作業漏れをなくしてセキュリティを高め、インシデント発生の防止に繋がります。
アカウント管理に関わる問題
アカウント管理の概要についてお伝えしましたが、セキュリティを強化するうえで重要な業務である一方、課題が多いことも事実です。
こちらでは6つの問題点について、それぞれのデメリットや具体例を挙げて解説します。
アカウント管理業務の煩雑化
社員数の多い企業や入退社の多い時期では、アカウント管理業務が煩雑になりがちです。
まず入社した社員については、担当部署へアクセス権限の範囲の確認や、各システム・サービスのアカウント登録、ID・パスワード・権限の設定などを迅速に行う必要があります。人事異動や退職した社員に関しては、アカウント削除や設定変更も行わなければなりません。
煩雑化した業務はミスが起こりやすくなり、その結果アカウントの悪用や不正アクセスといった危険性が高まります。
情報漏洩リスクの増加
アカウント管理が適切に行われていない場合、社内の機密情報や顧客情報の流出を招きかねません。たとえば退職者のアカウントを消さずに残したままでいると、退職後も自由にアクセスできる状態となり、重要なデータを持ち出されてしまう可能性があります。
また、外部から攻撃を受けた場合、使用していないアカウントの異変には気付きにくいため、知らない間に悪用されてしまう恐れもあるでしょう。情報漏洩は企業の信用失墜となり、今後の存続にすら影響するかもしれません。
SaaSが増えすぎて管理が難しい
SaaSとは、インストールせずにインターネット経由で利用できるソフトウェアを指します。端末に依存しないので、インターネット環境さえ整っていれば、どの端末からでもアクセスできる点が特徴です。
便利な反面、誰がどのSaaSを利用しているのか把握しづらかったり、増えすぎたSaaSのアカウント管理業務が煩雑になったりする欠点があります。社員が入れ替わる度に該当するSaaSへアクセスし、アカウントの削除などを行うには、膨大な手間と時間を要するでしょう。
生産性が低いノンコア業務と見られがち
アカウント管理は、セキュリティ面であらゆるリスクから企業を守る非常に重要な業務です。しかし直接的に利益を生み出すわけではなく、それでいて業務が煩雑化しやすいため、生産性の低いノンコア業務といえます。
アカウント管理のミスは企業にとって致命的であることから、ミス防止のために一人ひとりの業務負担を減らしたり、ダブルチェックを行ったりする必要が出てくるでしょう。
そうなると必然的に人手を増やさなければならず、その結果コストも増加して、より生産性は低下してしまいます。
年度の切替期に業務が急増
3~4月の年度が切り替わる時期においては、業務量が普段の何倍にも膨れ上がることがあります。たとえば100人規模の社員が入社した場合、それぞれが5つのアカウント情報を持つとなると、500件もの管理が必要です。
そのほか、新年度から新たなサービスやシステムに切り替える場合、該当社員すべての既存アカウントの削除、および新システム用の新規発行をしなくてはなりません。
引き継ぎや人材教育など社内全体が忙しくなる時期でもあるため、アカウント管理に時間を取られると、コア業務が停滞する恐れがあります。
テレワーク化が問題を加速
ここ数年で急速に進んだテレワーク化により、SaaSの利用が増加傾向にあります。
先述したように、インターネット環境さえあれば利用できるSaaSは、どの部署の誰がどのSaaSを使っているのか、どのライセンスを持っているのか把握しづらいことが難点です。アカウント情報を把握するだけでも労力と時間がかかり、管理者の本業を逼迫しかねません。
情シス部門のコア業務に十分なリソースを割けない場合、企業全体の生産性が低下して競争力を失う事態にもなり得るでしょう。
アカウント管理の自動化ツール・システム
Excelなどを利用し、アカウント管理を手動で行っている企業は少なくありません。とはいえ安全面や業務効率を考えると、手作業での管理は得策といえないでしょう。
そこでアカウント管理を自動化することが、課題解決策のひとつです。こちらではおすすめのツール・システムをご紹介します。
Soliton ID Manager
(出典:Soliton ID Manager)
「Soliton ID Manager」は、運用コストの削減とセキュリティ強化の両立を叶える情報資産アクセス管理基盤ソフトです。
「誰に・どのような権限で・いつまで・どのような理由で付与されたのか」といったアクセス権限を見える化し、設定漏れや遅れ、不要なアクセス権限の放置を防止できます。
各システムごとに設定が必要なシステム属性についても、自動変換するための属性マッピングを設定することで、自動プロビジョニングが可能。一つひとつアカウントの作成や削除を行う必要がなく、大幅な工数削減を実現します。
さらにパスワードの一括変更機能やリセット機能により、パスワード関連のさまざまな課題を解決。管理者だけでなく、ユーザーや社内ヘルプデスクなどの業務負担の低減にも繋がります。
CloudGate UNO
(出典:CloudGate UNO)
「CloudGate UNO」は、細かく設定できるアクセス制限と徹底した認証により、安全性と利便性を両立させたID管理プラットフォームです。
「クラウドサービスの玄関」として、2022年には稼働率99.99%以上の安定した運用実績を誇り、利用者から高い支持を得ています。
複数のサービスでバラバラに管理されていたアカウント情報を一元管理し、運用負担を軽減。退職や出向、育児休業で休眠状態にあるアカウントの無効化設定もスムーズに行えます。
一般的なパスワード認証に加え、パスワード+ワンタイムパスワードによる「多要素認証」、顔・指紋などの生体認証による「パスワードレス認証」を用意。ユーザー側が自由に選べる仕様で利便性を高めることに加え、より強固な認証を実現します。
ACTCenter IDM
(出典:ACTCenter IDM)
「ACTCenter IDM」は、NTTグループが提供しているID管理システムで、各々で管理していたID情報を一括で対応できます。複数システムへのIDやパスワードの作成・変更・削除操作を、同一の管理画面から操作可能です。CSVファイルにより一括登録・変更できる点もポイント。
そのほか、「ACTCenter IDM」のワークフロー機能を活用することで、特権IDの利用申請ができます。煩雑になりがちな紙のID利用申請書を管理する必要がなくなるため、管理の効率化を図れるでしょう。
シングルサインオンシステム「CSLGuard」を組み合わせれば、ID管理・認証をより確実・安全に行えるので、合わせて利用することがおすすめです。
メタップスクラウド
(出典:メタップスクラウド)
「メタップスクラウド」は、日々増加し続けるSaaSを一元管理し、コストの削減と安全なアクセス環境を提供するシステムです。
各社員に付与されているSaaSのアカウントをダッシュボード上で可視化することで、不要アカウントの削除漏れを防止。すべて一括して管理するため、導入SaaSの増加や入退社時、組織変更時のアカウント管理の工数を削減できます。
Windows、Mac、iOS、Androidといったマルチプラットフォームへの対応に加え、さまざまなアクセス制限も可能にし、快適な運用体制を実現。シングルサインオンをはじめ、ブラウザコントロール・アクセスコントロール・セキュリティルール管理機能搭載で、セキュリティを強化します。
LOCKED
(出典:LOCKED)
「LOCKED」は、業界初となるSSO・自動設定・棚卸台帳を一元管理する唯一のプラットフォームです。基本アカウントを設定すれば、あとは所属や役職を自動で判別し、それに応じて各SaaSのアカウントを自動で作成します。
部門管理が進みがちなSaaSも含め、各システムの利用状況を可視化して無駄なライセンス契約を排除。そのほかAPIやCSVでデータを収集し、全ユーザーが保持するアカウントデータベースを構築することで、棚卸から設定まで広く活用できます。
SAMLでの連携や独自のオンプレ環境など、さまざまなシステムに対応したシングルサインオンにより、1つのパスワードでログインが可能に。スマートフォンやタブレットも、iOS ・Androidいずれも利用できる点が特徴です。
Gluegent Gate
(出典:Gluegent Gate)
「Gluegent Gate」は、IDの統合管理に対応したセキュリティ対策ツールです。パソコン画面に加え、スマートフォンやタブレットなどマルチデバイスの画面にも最適化し、社内外のさまざまな環境から時間・場所を問わず対応できます。
シングルサインオン・アカウントの一元管理・アクセス制御・監査といった機能を備え、セキュリティとユーザーの利便性を同時に強化可能です。
同社の情報サービス「クラウドコンシェルジュ」では、製品のアップデート情報を含む各種情報を適宜公開・発信。迅速かつ安価でサポートしてもらえるので、安心して運用をスタートできるでしょう。
Keyspider
(出典:Keyspider)
「Keyspider」は、日本企業向けに作られた、国産クラウドID管理サービスです。クラウドサービスとオンプレ社内システムを簡単にID連携し、企業のユーザー管理や複雑な階層組織管理、および社員属性による権限管理などを統合管理できます。
対象となるすべてのシステムに対し、すべてのユーザー情報・組織情報・権限情報を同期できるため、「連携システム数×ユーザー数」という膨大な手作業コストの削減を実現。
たとえ同期処理を前提としていないオンプレ社内システムであっても、同期連携を可能とする機能を搭載している点が強みといえます。ゼロトラストに対応しており、セキュリティ対策も心配ないでしょう。
BUNDLE
(出典:Bundle)
「Bundle」は、SaaSにおけるアカウント開設作業や、アカウント見直しの棚卸し作業などを自動化できる情シス向け作業自動化ツールです。2023年4月現在、130以上の多彩なSaaSと連携しています。
アカウント棚卸機能により、従業員データベースとSaaSのアカウント情報を自動で名寄せ。対象外となったアカウントはシャドーアカウントとして検出され、セキュリティリスクかつ無駄コストという判断が下り、抹消されます。
不要アカウントの削除漏れがなくなるため、不正アクセスや悪用リスクの低下が見込めるでしょう。ユーザー数に応じた課金で費用の負担が少ないうえ、初期費用不要で導入できます。
ログインアカウント一元管理ソリューション(テクバン)
(出典:ログインアカウント一元管理ソリューション)
『テクバン株式会社』が提供する「ログインアカウント一元管理ソリューション」は、いくつものログインアカウントを一括で管理し、ワンオペレーションで対応できます。
社員の異動ごとに発生する各システムのアカウント登録や更新を自動化することで、作業時間を大幅に短縮可能。手作業で起こりやすい作業ミスや漏れがなく、大量の管理対象をスピーディーに処理できます。
システム導入後に発生した課題への対応や、年次更新に伴う組織変更、社内システムのアップデートに伴う修正にも対応。長期的に安心して利用できるサポート体制が整っていることもポイントです。
自動化以外のアカウント管理方法
アカウントの管理方法は、一元管理や自動化のほかにもさまざまな方法があります。それぞれの特徴やメリットを理解し、自社にとって最適な方法で管理を行うことが大切です。
こちらでは、自動化以外のアカウント管理方法を3つご紹介します。
特権IDの管理
特権IDとは、IDとパスワードによってアクセス制御しているシステムやサービスにおいて、もっとも強い権限をもつIDを指します。
特権IDが漏えいすると、システム破壊やデータ改ざんといった企業に大打撃となる被害に遭う恐れがあるため、一般ID以上に強固な管理が必要です。
特権IDは、必要な人に必要なときのみ払い出すことで不正利用を防ぎます。また、作業後は権限が消滅して利用できなくなるので、IDを使い回されることもありません。こうした管理方法により、外部・内部双方からの不正アクセスを防止します。
シングルサインオン
シングルサインオンは、一度のログイン操作で、複数のシステムやサービスへの認証を自動化できる技術です。
多くのサービスを利用する企業では、それぞれ異なるIDとパスワードを設定すると、管理が煩雑になります。忘れないようにとメモしたり、同じパスワードを使い回したりする状況に陥りやすく、アカウントの乗っ取りや不正アクセスなどの危険性が高まるでしょう。
このような場合にシングルサインオンを導入することで、業務の効率化やセキュリティ強化を図れます。
アクセスコントロール
アカウントコントロールとは、特定のユーザーのみがシステムやサービスにアクセスできるようアクセス制御することです。
基本機能として、まず入力されたIDやパスワードなどの情報から、本人であるかどうか「認証」を行います。認証されるとアクセスすることが「許可」され、アクセス権が付与される仕組みです。問題が発生したときは、過去のログを確認して「監査」も行います。
誰もが好き勝手にアクセスできないように制御し、企業の重要な情報を守ることがアクセスコントロールの目的です。
アカウント管理の自動化で情シス業務をスリム化
アカウント管理は煩雑になりやすく、本来優先すべき業務に支障が出ている企業もあるかもしれません。手作業で行う場合は人為的ミスが発生しやすいため、企業の存続を左右するような大事故に繋がる可能性もあるでしょう。
ID管理システムを導入して自動化すれば、アカウント管理にかかっていた業務時間が大幅に削減され、その分コア業務に専念できます。セキュリティの強化と生産性向上のために、ぜひ自動化を検討してみてはいかがでしょうか。
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