請求書電子化のメリット・デメリット|インボイス制度の影響とは【2023年】

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最近では請求書を電子化している企業も多く、取引先とのやり取りをメールで完結させるケースも増えてきました。請求書電子化は自社の業務効率を高めるだけでなく、取引先がスムーズに事務作業を行ううえでも非常に役立つものです。

本記事では、請求書の電子化を検討している企業に向けて、その概要やメリット・デメリットをまとめました。また、インボイス制度や電子帳簿保存法の改正の影響についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

請求書電子化とは

請求書電子化とは

請求書電子化とは、従来の紙で作成する請求書とは異なり、Web上で請求書を作成し、取引先にPDFなどの電子データ形式で送付することを指します。

2022年施行の電子帳簿保存法改正により、今後は電子帳簿保存法の要件に則り取引情報の電子データ保存が必要になりました。

(参考:電子帳簿保存法が改正されました|国税庁

これにより、これまで紙の請求書を扱ってきた企業が、電子化された請求書に移行するケースも増えています。

電子帳簿保存法の対象は帳簿と書類に分かれており、請求書は書類の中の重要書類に分類されます。電子化された請求書は法律上有効で、紙ベースの請求書と変わりありません。

請求書電子化のメリット

請求書を紙ベースから電子データ形式に切り替えることで、企業的にはさまざまなメリットが考えられます。

ここでは、代表的なメリットをいくつかご紹介します。

紙やインクなどのコストを削減できる

紙の請求書は印刷、または手書きで作成するため、紙やインクなどのコストがかかります。さらに請求書を取引企業に送付するために一枚一枚三つ折りにし封入。宛名ラベルと切手を貼り、郵便局に持ち込むといった時間と手間も必要です。

請求書を電子化すれば、Web上で作成した請求書をメールや専用システムなどを利用して送付できるため、紙の請求書を作成してから送付するまでの手間と時間、さらに紙やインク代、郵送代などのコストを大きく削減することができます。

ペーパーレス化促進に繋がる

近年ではSDGsやDXが注目され、ペーパーレス化に取り組む企業が増加しています。請求書の電子化移行は企業内のペーパーレス化促進に繋がります。

ペーパーレス化は一企業内のコスト削減だけでなく、森林伐採や地球温暖化などの環境保全にも深く関係しており、社会課題解決に向けて重要な取り組みといえるでしょう。

書類管理スペースを削減できる

紙ベースの請求書を発行しなくなると、書類を保管するスペースが不要になります。会社の規模や業種にもよりますが、数年分の書類を紙で保管するとなるとある程度のスペースが必要です。

請求書を電子データで保管できるようになれば、今まで書類管理をしていたスペースがいらなくなり、その分をほかの用途で活用することが可能。さらに過去の書類が必要な際、電子化された中から探す場合は紙の書類と比べて探す手間が省けるため、効率化を図れます。

紛失のリスクがなくなる

請求書を紙で発行している場合、人が管理することになるので「ファイリングするのを忘れた」「誤ってシュレッダーにかける」などのミスにより紛失する可能性も捨てきれません。

取引の証拠となる非常に大切な書類となるため、紛失した場合は取引先に再発行をお願いしなければならず、関係性や信頼性をも失いかねない事態です。

請求書の電子化を導入すれば、Web上で管理されるため、紛失のリスクがありません

直接押印・承認をもらう必要がない

紙の請求書の場合、担当者の押印や承認がなければ取引先に送ることができず、担当者が出張や外出している場合は作業が滞ってしまうこともあります。

企業によっては、テレワーク中にも関わらず請求書の押印のためだけに担当者が出社しなければならないことも珍しくありません。

電子化された請求書の場合はWeb上で完結し、テレワークや出張で担当者が出社していなくても押印や承認をもらえるため、業務の効率化が図れます。

請求書電子化のデメリット

請求書電子化のデメリット

請求書電子化は管理しやすく、書類保管に必要なスペースを省けるなど多くのメリットがありますが、デメリットもいくつかあります。

請求書電子化を検討している企業なら、請求書電子化によるデメリットについてもしっかりと把握しておく必要があるでしょう。

ここでは請求書電子化のデメリットについて詳しく解説します。

システム費用がかかる

請求書の電子化を行うために新たに請求書を発行するシステムを導入する場合、導入や運用にかかるコストが発生します。

請求書発行システム導入や運営にかかるコストはどのくらいになるのか、それと同時に、請求書発行システムを導入することで削減できるコストはどの程度なのかを算出することが大切です。

請求書を電子化することで導入・運用コストはかかりますが、紙の請求書と比べて業務軽減・人件費が削減につながり、結果的にコストを削減できる可能性もあります。

取引先が電子請求書に対応していない

自社で請求書発行システムを導入しても、取引先の中には紙の請求書発行を希望する企業がいる場合があります。

一気に電子請求書に移行できるとは限らず、紙の請求書を発行し郵送で送るといった従来通りの業務と、電子請求書発行の業務を並行して行うことも考えられるでしょう。

ただ、取引先の多くに請求書電子化が導入されていれば、すべての請求書を紙で発行・送付する作業と比べ大幅な業務削減と業務効率化が期待できます。

請求書を電子化する方法

請求書を電子化する方法はいくつかあります。

まず簡単な方法として、今まで紙の請求書で作成する際に用いていたword(ワード)やExcel(エクセル)で作成し、編集されにくいPDF形式に変換し、メールにファイルを添付して送付する方法です。

専用の請求書発行システムの導入をせずに電子化請求書を送付できる一方で、電子帳簿保存法の要件を満たすための体制を整備するのに大きな負担がかかるという一面もあります。

もうひとつは電子請求書発行システムを用いる方法です。電子請求書発行システムのなかには、電子帳簿保存法の要件に満たす電子請求書作成が可能な製品があります。

自社内の負担を抑えて、できるだけスマートに電子帳簿保存法に対応するなら、電子請求書システム導入が有効的な方法と言えるでしょう。

請求書を電子化するのにおすすめなシステム

電子化請求書システムは無料のものから有料のものまで数多くあります。豊富な選択肢から選べる半面、どれを選べば良いのか悩むこともあるでしょう。

そこで、ここでは特におすすめな以下3つのシステムを紹介します。

  • 会計freee
  • INVOY
  • Misoca

会計freee

会計freee」は、シェアNo.1のクラウド会計ソフトです。個人事業主から中規模法人までの規模に対応したソフトで、経理業務を簡単・効率的に行えます。

クラウド型の会計ソフトのため、インボイス制度や電子帳簿保存法など法改正にも対応しています。

チャットや電話などで担当者に相談できる手厚いサポート体制も整っているため、初めてでも安心して利用できるのもポイントです。

法人向けプランは機能により3種類用意されており、30日間無料でお試しもできるため、使用感を実際に試してから継続するかどうかを検討できます。

INVOY

累計登録者数9万ユーザー以上の「INVOY」は、無料で請求書作成ができます。

作り方は必要項目を上から入力するだけの簡単さで、ビギナーでも扱いやすいでしょう。スマートフォンからも請求書作成や発行ができるため、外出先での急な対応もスマートに行えます。

有料版では、無料のプランで利用できる機能のほか、口座自動連携や資金繰り表作成などもできるようになり、請求・入出金管理を効率化したい場合におすすめです。

Misoca

Misoca」は、請求書作成のほか、見積書・納品書・領収書・検収書の作成に対応しています。見積書から納品書・請求書への変換、請求書から領収書・検収書作成もできるため、ミスや記載漏れの心配がありません。

インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しています。請求書は14種類のテンプレートから選べ、自社のロゴや印影の画像データを挿入するだけで最適なサイズに自動調整。企業のイメージに合わせた請求書発行で、取引先への印象アップにつながるでしょう。

請求書電子化の注意点

請求書電子化の注意点
作業の効率化や人件費の削減に大きく貢献する請求書の電子化。さらに紙の請求書対応時に発生していた封入ミスや紛失などの人的ミスを抑えられるなど、さまざまなメリットが挙げられます。

しかし請求書を電子化すればすべてにおいて完璧と言うことではありません。請求書を電子化する際には、押さえておくべきポイントもいくつかあります。

請求書の電子化によるトラブルに発展しないよう、注意点を把握しておきましょう。

必ずセキュリティ対策を行う

電子請求書などの電子データは、管理がしやすく便利な一方で、第三者による改ざんや情報漏洩の危険性があることを忘れてはいけません。

例えば、電子請求書にタイムスタンプを付与することで改ざんのリスクを軽減できます。ほかにも社内の共有フォルダに電子請求書を入れている場合は、特定の社員のみが入れるフォルダに移動させるなども効果的です。

セキュリティ面の強化にはコストがかかりますが、安全面や信頼性に関わることなので積極的に対策を講じましょう。

誤送信に気を付ける

紙の請求書は郵送するまでに手間がかかりますが、電子化請求書はワンクリックで送信先に送付できます。手軽に送付できる一方で、誤送信する可能性も否めません。

誤送信防止ツールの導入や複数人でチェックを行うなど、誤送信防止への体制を強化し、対策することが大切です。

紙での発行体制も残しておく

請求書の電子化を進めるためには、自社だけでなく、取引先の受け入れ体制も整っていなければ成立しません。

予告なく紙の請求書から電子請求書に切り替えるのでなく、まずは取引先に案内文を送付し、事前に切り替える旨を知らせましょう。

事前に知らせても、電子請求書に抵抗がある取引先やコストを割けない取引先もいるでしょう。そのため、紙での請求書が発行できる体制を残しておき、徐々に電子請求書へ移行するといった方法も考えておくと良いでしょう。

【2023年以降】インボイス制度の影響

軽減税率の導入により消費税率が8%と10%が混在し、消費税の把握が困難になりました。そこで、2023年10月1日から消費税額控除の方式として新たに開始されるのが「インボイス制度」です。インボイスは「適格請求書」のことで、国税庁は売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものとしています。

具体的には原稿の区分記載請求書に「登録番号」と「適用税率」および「消費税額等」の記載が追加された書類やデータを指します。

インボイスを発行できるのは適格請求書発行事業者のみで、適格請求書発行事業者になるためには税務署長に対して登録新書を提出し、登録することが必要です。

インボイス制度の開始により、請求書の様式が適格請求書(インボイス)に変わるため対応が必要になります。

(参考:インボイス制度の概要 | 国税庁

【2024年以降】改正電子帳簿保存法による義務化

電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿書類を保存する際のコストや人的負担を削減するため1998年7月に施行された法律です。その後2022年1月改正により、帳簿の電子データ形式での保存が義務化されました。

しかし、企業の準備期間として2023年12月までの2年間が猶予期間として設けられています。

インボイス制度が2023年10月1日から始まるため、帳簿の電子化を後回しにしているとインボイス制度の対応と電子帳簿保存法対応を同時に行わなくてはならず、混乱を招いてしまうことも考えられます。

余裕を持って対応し、余裕を持って新しい制度をスタートしましょう。

(参考:電子帳簿保存法が改正されました | 国税庁

請求書電子化で業務効率を高めよう

請求書の電子化は、紙の請求書を発行する作業と比べ負担が少なくなるほか、保管場所が不要、紙やインクなどのコストを削減できるなどのメリットが多いです。

電子帳簿保存法が改定され、2024年1月からは電子取引情報保存が完全義務化となります。紙での請求書取引を行っている企業では、2年間の猶予期間を利用して、電子帳簿保存法の要件を満たすよう帳簿の電子化を進めなければいけません。

「まだ時間があるから」と後回しにしていると、2023年10月1日にはインボイス制度もスタートするため、対応に追われることになりかねません。余裕を持って、事前に準備を進めましょう

請求書の電子化にお悩みなら「クラウドSE」

「新しい制度への準備がうまく進まない」「何から手を付けて良いか分からない」など、請求書の電子化に悩んでいる企業も多いでしょう。

そのような企業には当社の「クラウドSE」がおすすめです。

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