ヘルプデスクは、企業全体の業務を円滑に進めるうえで欠かせない存在です。ところが膨大な数の問い合わせ件数に対応が追いつかなくなると、企業活動にさまざまな支障をきたしかねません。
問い合わせを減らすことでヘルプデスク業務が効率化し、顧客満足度の向上や経費の削減にもつながります。
この記事では、ヘルプデスクの問い合わせが減らない要因を探り、どのように改善すべきかお伝えするので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
ヘルプデスクの問い合わせに関する課題
社内外から寄せられる疑問やトラブルを解決するヘルプデスクは、安定した企業運営の維持には欠かせない存在です。しかし、問い合わせ件数が多いとさまざまな課題が生じやすく、企業全体にも影響をおよぼしかねません。
ヘルプデスクが陥りがちな課題は以下の通りです。
問い合わせ対応のリソースを確保できない
ヘルプデスクは、情報システム部が業務の一環として行うケースが多く、IT人材が不足している昨今において十分な人員を配置できない企業も少なくありません。
そのため日々殺到する問い合わせに少人数で対応しなければならず、業務過多によるストレスから休職・離職する担当者も出てくるかもしれません。人手不足がさらなる人手不足を招くという悪循環に陥る可能性があるため、リソースを確保するか問い合わせ数を減らして業務負荷を軽減することは重要なことです。
問い合わせ状況を把握しにくい
WEBサイトの問い合わせフォームをはじめ、電話・メール・SMS・SNSなど、問い合わせの手段はひとつではありません。複数のチャネルから問い合わせが寄せられると、誰がどこまで対応しているのかなどの状況を把握しづらくなり、確認作業に余計な時間がかかりがちです。
また、ヘルプデスクの担当間で情報共有がうまくできず、各担当者が個別に進捗管理をしている状況だと、担当者が不在の場合に対応ができなくなる恐れがあります。
問い合わせ内容が多様化している
ヘルプデスクは、社内外のあらゆる問い合わせに対し、適切な回答や解決策を提示する必要があります。そのため、幅広い専門知識を習得しておかなければ対応できません。
さらに近年は、IT技術の進歩によってシステムの複雑化や自社商品・サービスの高度化が進んでおり、それに伴って問い合わせが多様化し、内容の難易度も上がっています。
ひとつの問題を解決するために多くの時間が奪われることから、本来優先すべき本業へ支障をきたしかねません。
ヘルプデスクへの問い合わせが減らない要因
問い合わせ件数を減らすには、「なぜ問い合わせが殺到するのか」「なぜ対策してもなかなか改善されないのか」など、まずは原因を突き止めることが大切です。
ここでは、ヘルプデスクへの問い合わせがなかなか減らない要因をいくつかご紹介します。
自己解決できる環境が整っていない
問い合わせ件数を減らすにあたって、社員や顧客が自身で解決できる環境を整えておくことも大切です。
ちょっとしたトラブルが生じたり、わからないことが出てきたりした際に、調べられる術がなにも用意されていなければ、問い合わせるしか方法がありません。
マニュアルやFAQがあれば簡単に自己解決できるような質問でも、すべてヘルプデスクに問い合わせが来てしまうので、まずは自己解決しやすい仕組み作りを進めましょう。
マニュアル・FAQがわかりにくい
せっかくマニュアルやFAQを用意していても、読み手に理解してもらえなければ意味がありません。
情報を詰め込みすぎていたり、専門的な用語を多用していたりすると、「よくわからないから問い合わせよう」という思考を招いてしまうでしょう。
「文字情報を羅列しているだけで読みにくい」「回答に専門用語を多用していないか」など、一度チェックしてみてください。誰が読んでもわかりやすいマニュアルやFAQは、問い合わせ数の削減に繋がります。
マニュアル・FAQの情報が古い
マニュアルやFAQは、作成すればそれで終わりというわけではありません。システムを運用していくなかで情報の変更や追加が生じた場合は、マニュアルにも反映させる必要があります。
古い情報のままでは問題を解決できないどころか、間違った対応によって事態の悪化や新たなトラブルを引き起こす恐れがあります。混乱を招かないためにも、定期的に内容を見直して情報をアップデートしましょう。
問い合わせを減らすことで期待できるメリット
問い合わせを減らすことでヘルプデスクの業務効率化を図ると、さまざまなメリットがもたらされます。ヘルプデスクの課題が改善されれば、企業にとってもプラスとなる効果が期待できるでしょう。
問い合わせ削減によって期待できる主なメリットは以下の通りです。
担当者の業務負荷の軽減
他業務とヘルプデスク業務を並行している場合、殺到する問い合わせに本業が圧迫され、業務遂行の停滞による残業や休日稼働を余儀なくされることもあるでしょう。そのような状況が続けば、限界を迎えて離職を希望する担当者が出てくることは否めません。
問い合わせ件数を減らすことで業務負荷が軽減され、過酷な労働環境を改善できるでしょう。貴重な人材を失わないためにも、早急な対策が必要です。
顧客満足度の向上
問い合わせが増えて対応が追いつかなくなると、回答するまでに長い時間待たせてしまう問い合わせ相手も出てくるでしょう。また、早くさばきたいという思いから、対応が雑になるなどの品質低下も生じやすいです。
こうした状況では、「早く解決してほしいのに、全然回答が来ない」「対応が事務的で不満」というクレームを引き起こし、企業に対する信頼や評価も落ちかねません。
問い合わせが削減できれば、待ち時間の短縮や対応品質の向上により、顧客満足度も高まるでしょう。
人件費や固定費の削減
煩雑な問い合わせによって勤務時間内に業務をさばけず、残業や早出、休日稼働といった時間外労働を行う場合、余計な人件費や光熱費・通信費などがかかります。
一時的であればそこまで重要視する問題ではないものの、このような状態が毎日続くとなると、年単位で見たときに無視できない額となりかねません。
そのほか、業務負荷に耐えられず離職者が相次ぐと、新たな人員の採用や育成にもコストがかかりがちです。こうしたあらゆるコストは、問い合わせ削減により解決できるでしょう。
問い合わせを減らす5つの方法
ヘルプデスクが抱える課題の多くは、問い合わせ件数を減らすことで改善できます。とはいえ、具体的にどのようなことを行えばいいのでしょうか。
ここでは問い合わせを削減するための方法を5つお伝えするので、実行できるところから始めてみましょう。
問い合わせ内容の分析を行う
問い合わせ件数を減らすうえで、日々寄せられる問い合わせ内容について細かく分析することが重要です。ヘルプデスクのサポートがないと解決がむずかしい専門的な問い合わせもあれば、自己解決をお願いできそうな問い合わせも少なくないでしょう。
頻度の多い質問をFAQにまとめて共有するだけでも、問い合わせ削減が見込めます。分析した結果をもとに、多くの社員がつまずきやすいポイントを把握し、マニュアルを改善することも必要でしょう。
マニュアルを整備する
マニュアルを用意している企業は少なくないものの、必ずしも存在意義を果たしているとは限りません。
先述した通り、誰が見てもわかりやすいマニュアルを作成する必要があります。専門的な言葉はかみ砕いて要点を簡潔にまとめ、文字以外にも要所で図を使用するといいでしょう。欲しい情報をすぐに見つけられる工夫も大切です。
このほか、定期的に情報の更新や添削を行うことも忘れずに行いましょう。
FAQを充実させる
マニュアルは業務に関する一連の流れが掲載されているもので、どのような手順で進めればいいのか知りたいときに活用します。
一方、FAQは業務を進めていくなかで生じるよくある質問について、回答を用意したものです。つまり、わからないことがあってもFAQを見て解決できれば、ヘルプデスクに問い合わせる必要がありません。
ただし、FAQが充実しているほど問い合わせ削減に期待できる反面、知りたい情報を見つけにくくなる可能性が高くなります。そのため、検索機能をつけるなどの対策も行いましょう。
マニュアル・FAQを周知徹底する
マニュアルやFAQを作成・整備したら、社内全体に周知するよう徹底してください。
「どこにあるのかわからない」「辿り着くまでのアクセスが複雑」という状態では、なかなか積極的に活用してもらえないでしょう。そもそも存在を知られていなければ、まったく意味がありません。
内容も重要ですが、どのようにすれば使用してもらえるのかについても意識してみてください。
チャットボットを活用する
チャットボットは、入力された質問に対する適切な答えを自動で判断し、回答してくれる自動会話プログラムです。チャットボットで解決できない疑問のみヘルプデスクに問い合わせが来るので、初歩的な問い合わせはほとんど削減できるでしょう。
また、ヘルプデスクは営業時間内にしか対応できないのに対し、チャットボットは原則24時間回答が可能で待ち時間もありません。疑問が生まれた際にスムーズに解決してくれることから、満足度の向上も見込めるでしょう。
チャットボットを効果的に活用するポイント
チャットボットの導入は、問い合わせ件数を減らすうえで有効であるとお伝えしましたが、使い方によってはうまくメリットを活かせない可能性があります。
チャットボットの効果を最大化するためにも、下記の点を押さえておきましょう。
利用につながる導線を工夫する
まず意識したいポイントが、チャットボットの設置場所です。問い合わせる際に相手がどのように動くのか想定し、そのアクセス先に設置しておきます。
たとえば問い合わせようと考えたとき、問い合わせフォームを開いたり、電話番号やメールアドレスが掲載されているページにアクセスしたりする場合がほとんどでしょう。そこでチャットボットのウィンドウが表示されれば、利用してもらえる可能性が高いです。
このようにインターフェースを意識して、利用を促す工夫をしましょう。
優先順位を決めて設定する
どんなに優秀なチャットボットであっても、人間のように柔軟な対応はできません。できるだけ問い合わせ件数を減らしたいからといって膨大な数のQ&Aを設定すると、かえって回答精度が落ちてしまいます。
最初からすべて解決しようとするのではなく、まずは高頻度で寄せられる内容を優先的に登録しましょう。実際に運用したあとで、様子を見ながら少しずつ設定を増やしていくことをおすすめします。
定期的に回答内容を更新する
マニュアルやFAQと同様に、チャットボットに設定している回答内容も定期的な更新が必要です。常に最新の情報に沿った回答ができるよう、メンテナンス体制を整えておきましょう。
また、チャットボット自体の更新だけでなく、回答に付随したURLの更新も忘れてはいけません。誘導した先の情報が古かったり、そもそもURLが存在しないものだったりすると、チャットボットが本来の機能を果たせなくなってしまいます。
問い合わせ数を削減して業務効率化を
ヘルプデスクへの問い合わせを減らすことができれば、担当者の離職率低下やコストの削減、顧客満足度の向上といったメリットが期待できます。
問い合わせを削減するためには、どれだけ自己解決を促せるかがポイント。この記事でご紹介したように、既存のマニュアルやFAQを見直すだけでも効果があります。さらにチャットボットなどのツールを活用すれば、より大幅な削減が望めるでしょう。
なかなか問い合わせが減らずにお困りの方は、ぜひ導入を検討してみてください。
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