【IT運用】アウトソーシング導入のプロセス|外注先の探し方もチェック

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IT知識や経験が浅いと、「IT運用のアウトソーシングを検討しているが、どこから手をつけていいか分からない」と悩んでしまうこともあるでしょう。

IT業務のアウトソーシングにはさまざまなメリットがありますが、適切に導入しないと削減効果を得られないケースなども発生するので注意が必要です。

この記事でご紹介するメリット・デメリットをはじめ、導入へのプロセスや成功事例などを参考にして、企業にとってプラスに働く方法を検討してください。


IT運用のアウトソーシングとは?

IT運用のアウトソーシングとは?
IT運用のアウトソーシングとは、企業内で行われるIT業務の一部を外部に委託することです。外部に委託する業務内容や規模の大きさによって、以下4つの種類にわけられます。

  • フルアウトソーシング
  • 運用アウトソーシング
  • ホスティング
  • ハウジング

自社のみでシステムを導入・運用するのは、もはや従来のやり方です。現在はIT専門の人材を確保せず、外部に委託する「ITアウトソーシング」が主流になりつつあります。

IT運用をアウトソーシングするメリット

近年は、システム導入・運用を外部委託する、ITアウトソーシングを取り入れる企業が増えています。しかし、外部委託で得られるメリットを知らなければ、適切に運用できません。

ここでは、IT運用をアウトソーシングするメリットについてご紹介します。

コア作業に集中できる

企業のコア作業に社員が集中できることは、IT運用をアウトソーシングする大きなメリットです。

例えば、技術専門の社員が問い合わせ・トラブル対応まで請け負っていては、次第に業務が回らなくなってしまうでしょう。

ITアウトソーシングにより社員一人ひとりの業務負担が軽減され、企業全体の生産性が向上します。

コストが削減できる

経済産業省が発表したDXレポート「2025年の崖」では、「日本企業のIT関連費用のうち、80%は既存システムの運用・保守に割り当てられている」という結果が出ています。

複雑化したIT運用をアウトソーシングすることで、システム運用・保守に充てられるコストやIT専門の社員を確保する人件費が削減できるでしょう。

業務品質が向上する

IT業務は専門性が高いうえ、成長スピードが非常に早い分野です。ITの専門企業にアウトソーシングをすることで、自社の業務品質が向上します。

また、ITアウトソーシングにより、社員の業務負担を減らせることも大きなメリットです。業務の品質が上がることは、業務の効率化につながります。

ITガバナンスを強化できる

IT運用を専門企業にアウトソーシングすることで、システム運用・保守に関する投資・効果・リスクが継続的に最適化され、ITガバナンスを強化できます。

メンテナンスやセキュリティ面においても、ITのプロフェッショナル集団が常に最新技術でサポートしてくれることは、大きなメリットです。

組織の体制変更に柔軟に対応できる

新しいシステムの導入やIT環境の構築が要求される際、組織の体制変更には移行作業の手間や人材雇用といったコストがかかるものです。

IT運用を専門企業にアウトソーシングすれば、業務内容に合わせて委託先を選び直すだけでよく、組織の体制変更に対して柔軟な対応ができるメリットがあります。

IT運用をアウトソーシングするデメリット

IT運用をアウトソーシングするデメリット

ITアウトソーシングが企業にもたらすメリットは多いですが、以下3つのデメリットも考慮して検討しましょう。

  • セキュリティ面のリスクがある
  • IT技術のノウハウが蓄積されない
  • コスト削減できないケースもある

それぞれのデメリットについてご紹介します。

セキュリティ面のリスクがある

ITアウトソーシングでは、企業のさまざまな情報を外部に管理してもらうことになるため、情報漏洩やデータ流出といったセキュリティ面のリスクがあります。

安心して外部委託をするためには、委託する情報の内容や範囲を精査するほか、委託先の情報管理体制を確認し、セキュリティ面の懸念点をなくすことが大切です。

IT技術のノウハウが蓄積されない

ITアウトソーシングには専門企業に業務を任せられるメリットはあるものの、IT業務の委託範囲が広ければ広いほど、企業内にIT技術のノウハウは蓄積されません。

特にIT業務のほとんどを外部委託するフルアウトソーシングを活用した際は、システム運用・保守に関する対応方法を記録に残し、あとからノウハウを学べる体制を整えましょう。

コスト削減できないケースもある

委託先の選び方や任せるIT業務の範囲を間違えてしまうと、ITアウトソーシングを導入してもコストを削減できないケースがあります。

確実なコスト削減を実現させるためには、企業が対応するIT業務の内容・範囲を明確にし、適切なアウトソーシング先を選択することが大切です。

アウトソーシングしやすいIT運用の業務

ITアウトソーシングのメリットとデメリットを把握したら、実際にどのような場面で活用されているのかについて知りましょう。

ここでは、アウトソーシングしやすいIT運用の業務について詳しくご紹介します。

ヘルプデスク

ヘルプデスク

ユーザーからの問い合わせやクレーム対応、社内からの問い合わせ対応業務について、委託先の企業が行うことをヘルプデスクといいます。

タイミングが予測できない電話対応・メール対応をアウトソーシングすることにより、コア作業に専念できるほか、問い合わせの対応スピードや質の向上も見込めるでしょう。

運用監視

運用監視とは、企業内で稼働しているハードウェアやソフトウェアを、委託先の専門企業が代わりに運用・監視することを指します。

24時間365日の対応が必要とされる運用監視をアウトソーシングすれば、システム障害の前兆を予測し、障害が起きた際に復旧時間を短縮できるでしょう。

パーツマネジメント

企業が保有するソフトウェアの予備機を委託先で保管し、万が一の故障時に配送手配からセッティングまでサポートする業務を、パーツマネジメントといいます。

故障したハードウェアは修理されたのち再び予備機として管理されるため、アウトソーシングにより機器の資産管理に対するトータルコストを削減できるでしょう。

ロジスティクス

ロジスティクスとは、部品の調達から配送までの流れを一括で管理するシステムのことです。部品用に倉庫を保有・管理する手間がなく、物流コストを削減できます。

アウトソーシングすることで部品が委託先の倉庫で一元管理され、必要なときに素早く安定した部品供給できるでしょう。

リペア

IT運用に必要な大型コンピューターやサーバー、パソコン、ハードディスクといった機器のクリーニング、および修理する作業をリペアといいます。

アウトソーシングすれば機器の故障を適切にリペアできるほか、修理状況も各フェーズごとに確認可能に。修理完了品は素早く手元に届けられます。

IT業務をアウトソーシングした事例

ITアウトソーシングを導入する前に、実在する企業の導入事例や成功体験を知り、どのくらいの恩恵をもたらすのかイメージすることが大切です。

そこで、実際にITアウトソーシングを活用して成功した事例についてご紹介します。

人材サービス事業A社の場合

人材サービス事業のA社では、管理業務やデータ削除といった作業に多くの工数を必要としていたため、総務部が担当していた端末管理業務をアウトソーシングしました。

委託先で2万台を超える端末が一括管理されたことにより、課題であった運用の効率化に成功。結果的に工数は月320時間を削減、利用コストも月800万円の削減を実現しています。

(参考:ITアウトソーシングのメリット・・・ | PERSOL(パーソル)グループ

大手通信事業者B社の場合

大手通信事業者のB社では、業務マニュアルの不足に加え十分な人材が確保できておらず、システム再構築プロジェクトが6ヶ月停滞している状況でした。

そこでアウトソーシングを導入し、委託先にプロジェクトマネージャーを一任することに。結果的にプロジェクトはわずか3ヶ月でリカバーし、業務の効率化に成功しています。

(参考:ITアウトソーシングのメリット・・・ | PERSOL(パーソル)グループ

『株式会社アトラエ』の場合

『株式会社アトラエ』では、クラウドソーシングにて業務委託を開始し、すべての事業部に1人以上のフリーランスを配置しました。

フリーランスを同じメンバーとして迎え入れることによって、正社員を含めたチームの競争率が上昇。個人へのアウトソーシングが、会社の成果を高めるきっかけになりました。

(参考:アウトソーシングとは?人材派遣との違いや種類を解説 | Wantedly

『株式会社storage』の場合

国内外に複数の美容室を展開している『株式会社storage』では、新規事業の立ち上げをきっかけに、新たな人材を業務委託でも採用開始。

個人へのアウトソーシングを導入することにより、動画製作やWEBマーケティングといった、特定の分野に特化した人材の確保に成功しています。

(参考:アウトソーシングとは?人材派遣との違いや種類を解説 | Wantedly

アウトソーシング先の選び方

アウトソーシング先の選び方

ITアウトソーシングの活用で成功した事例を見てきましたが、実際に導入するためにはアウトソーシング先の選び方を知らなければなりません。

ここでは、アウトソーシング先の種類と選び方についてご紹介します。

ビジネス向けマッチングサービスを利用

IT業務のアウトソーシング先を選ぶ際は、ビジネス向けのマッチングサービスやマッチングサイトの利用がおすすめです。

企業が求める条件で委託先を検索できたり、企業にマッチした委託先を紹介してくれたりと、さまざまな方法でマッチングを図れます。アウトソーシングが初めての方でも、委託先を探しやすいでしょう。

クラウドソーシングを活用(個人)

企業へのアウトソーシングだけでなく、クラウドソーシングを活用した個人への業務委託もひとつの選択肢です。クラウドソーシングでは求める人材に必要なときだけ委託可能なため、短期的な運用でコストを抑えられます

個人が持つスキルや技術は年々進化してきており、幅広い業務でアウトソーシングしやすいでしょう。

社員からの紹介

マッチングサービスやクラウドソーシングを利用せず、社員から直接アウトソーシング先を紹介してもらうこともひとつの方法です。

企業をよく知る社員が知人や友人を紹介することで、企業にマッチした人材を確保しやすくなります。人材の確保から採用までスムーズに進み、結果的に低コストで済むでしょう。

ITアウトソーシングの活用プロセス

ITアウトソーシングは、導入までの道筋が大切です。どの委託先を選んだとしても、基本的な流れは変わりません。

ここでは、ITアウトソーシングを活用するときの一般的なプロセスについて、順を追ってご紹介します。

1. 現状の把握

ITアウトソーシングを導入する際は、まず現状の把握が重要です。企業が持つリソースや人材ではどの業務が対応できないのか、コア作業を妨げている業務は何かを明確にします。

現状に対する課題が見えたら、現状の解決方法を見出しましょう。専門スキルや人材不足が原因であれば、ITアウトソーシングにより解決できる可能性があります。

2. ゴールの定義

企業の現状を把握できたら、最終的なゴールの定義を決めましょう。外部委託する業務内容と範囲を詳細に決定し、いつまでに実行するかを設定します。

ゴールの定義を決めるにあたり、ITアウトソーシングの導入で得たい成果を具体的にすることが大切です。ITアウトソーシングが必要な理由を明確にしてから実行しましょう。

3. 要件定義

現状の課題やゴールの定義を明確にしたら、次に要件定義を行いましょう。要件定義とは設計図のようなもので、IT運用のアウトソーシングには欠かせない要素です。

情報・工程・スタッフ・予算などのベースラインを決定します。

4. 運用設計

要件定義に続き、運用設計を行います。運用設計とは、システムを安定して稼働させるために業務や運用ルール、運用方法、障害対応フローなどを決めておく作業のことです。

きちんと運用設計が行われていれば業務の効率化が図れるため、ITアウトソーシングにおいて重要な要素といえます。全体の流れを確認しながら進めましょう。

5. 導入

ここまでの工程を終えたら、いよいよITアウトソーシングの導入です。

まずは、担当者が委託先の企業に座学やOJTといった研修を行い、業務に必要な知識を養います。一連の流れをこなせるようになった段階で、今度は委託先の企業のみで運用を開始。

こまめにフィードバックをし、委託先の企業と連携を欠かさないことが大切です。

IT運用をアウトソーシングする際の注意点

IT運用をアウトソーシングする際の注意点

IT運用をアウトソーシングする目的は企業によって異なります。それゆえに、注意点も踏まえて慎重に検討をしなければなりません。

ここでは、IT運用をアウトソーシングする際の注意点についてご紹介します。

コストだけで判断しない

いくら見積もり金額が安いからといって、コストだけでアウトソーシング先を判断するのは危険です。アウトソーシングを導入してから「想定していたサービスと違う」「成果がマイナスになってしまった」などの恐れがあります。

サービス内容と見積もり金額を比較したうえで、アウトソーシング先を選びましょう。

外注先の技術・サービスを選定する

委託したい業務内容と、外注先の技術・サービス内容が合致するか選定することも重要です。ただし、アウトソーシングの導入後でないと判断できない場合もあります。

安心して導入するためには、「SLA(サービスレベルアグリーメント)」という契約が大切です。万が一の際に利用金額などが補償されるため、締結まで話し合うと良いでしょう。

内製業務と外注を切り分ける

IT運用をアウトソーシングする際は、企業内で行う内製業務と外注する業務を切り分けましょう。切り分けて考えることで、予算の計画や委託先に相談しやすくなります。

実現するためには、委託したいIT業務の内容を細かく洗い出しましょう。企業が現状できていること、できていないことが把握できれば、アウトソーシングでの成果につながります。

複数の外注候補を比較する

ビジネス向けのマッチングサービスやクラウドソーシングなどにより、現代はIT運用のアウトソーシング先が多数あります

その中から企業にマッチしたアウトソーシング先を選ぶためには、複数の外注候補を比較することが重要です。

企業が希望する条件や費用についてすり合わせ、相見積もりをとって比較しましょう。

IT運用のアウトソーシングでコア業務に集中

IT運用のアウトソーシングを導入することで、企業が本来注力すべきコア業務に集中できるほか、作業の効率化や企業全体の生産性アップといった成果が期待できます。

ただし、やみくもに導入しては失敗する可能性があるため、現状の把握やゴールの定義といった導入までのプロセスを打ち立てることが大切です。

本記事で紹介した、IT運用をアウトソーシングするメリットやデメリット、導入時の注意点などを参考にして、ITアウトソーシングを活用してみてください。

IT業務を「クラウドSE」にアウトソーシング

当社が運営する「クラウドSE」では、企業のIT業務に関するトータルサポートを行っています。IT業務の省力化やヘルプデスク代行など、企業に合わせてカスタムしたプランでのご依頼も可能です。

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