リソース不足な情シス部門の課題・リスクとは?おすすめの解決方法もあわせて解説
情報システム部門(情シス)は、社内の業務を円滑に行うために、社内ITインフラの整備やITツールの導入・サポートなどの重要な役割を担います。しかし、IT人材不足やコスト削減の観点から1人もしくは少数の社員が情シス業務を担当しているという企業が多くあるのが現状です。
このような状態では、社内のIT業務が集中することによる業務過多や、業務の属人化などの課題が発生します。情シス業務のブラックボックス化に限らず、セキュリティ面のリスク増加などさまざまな問題へ派生しかねません。
この記事では、このような状況が生まれる背景や課題に加えて、おすすめの課題解消法などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
リソース不足に陥る原因とは
社内の情報システム部門を1人の担当者のみで行っている状態に限らず、2〜3人ほどのごく少数で担っておりリソース不足な状況の情シス部門は多く存在します。
というのも、情報システム部門は、営業部門などの利益を生み出すプロフィットセンターと対になるコストセンター。そのためスタートアップやベンチャー企業など、資本力が十分ではなく従業員がまだ少ない企業で起こりやすい傾向にあります。
情報システム部門は、ITを活用している企業であれば設置されている部署であり、システムやインフラの対応から従業員からのITに関する質問や相談に応える重要な部署です。
では、そのような重要な部署が、なぜ情シス担当者が不足しているような状態になってしまうのでしょうか。
リソース不足が生まれる背景
ここでは、そのような状況から生まれる課題を把握するためにも「なぜそうなるのか」という原因を紹介します。
情シス担当者の離職
Dell EMCが2019年に実施した「IT投資動向調査」では、中堅企業全体の情シス担当者は21%が退職しているという高い離職率であることが判明しました。また、同調査では中堅企業全体の56.6%が兼任型情シスであることもわかっています。
その理由のひとつが、心身ともに大きな負荷がかかること。
ITインフラの整備・ITツールの導入・社内システムの保守など、情シス部門が担う業務は多岐に渡ります。単純に業務量が多いだけでなく、本来の業務に加えてさまざまな業務を任されることにより、体力的に限界を迎えることが多いようです。
仮に、最初からそのような体制ではなかったとしても、業務量と担当者のリソースが合っておらず担当者が疲弊して離職することで、複数体制だった情報システム部門が担当者1人のみという体制になりかねません。
(引用:Dell EMC IT投資動向調査)
IT人材不足・人材確保が困難
情シスの担当者として採用するためには、ITにおける専門的な知識が必要です。
しかし、IT業界ではIT人材不足が顕著であり、2030年には最大で79万人不足すると経済産業省が発表しています。人材側も情シスが抱える過酷な状況を認識しており、そもそも情シス担当としての雇用に消極的であることが多いです。
社内で人材を育てるにしても、多大な時間・コストがかかることを考えると積極的な教育は難しく、結果としてIT人材を増やせないことに繋がります。
(引用:IT人材白書2020/独立行政法人情報処理推進機構社会基盤センター)
経営層の理解不足
情報システム部門の担当者を増やせないという要因として、直接業務にかかわっていない経営層の理解に関する問題もあります。
情シス部門の業務は重要なポジションである一方で、直接的な売上には繋がりません。そのため、経営層にとっては積極的にコストをかけたり、採用を進めたりする対象になりにくく、結果として優先度が下がってしまうのです。
また、近年のIT技術の多様化・複雑化に経営層の理解が追いつかず、「前から少人数で対応できていたから」と採用を先送りにしている場合もあります。
情報システム部門(情シス)の業務範囲
そもそも情報システム部では、具体的にどのような業務を行っているのでしょうか。主な業務内容を以下にまとめました。
- キッティング・IT資産管理管理
- ヘルプデスク業務
- セキュリティ対策
- 社内インフラの導入・保守運用
- 社内システムの開発・保守運用
など
情報システム部門として行う業務は企業規模に限らずほぼ同様です。上記を1人もしくは小人数で行うには、業務量が多いことは目に見えて明らかです。
リソース不足の情シスが抱える課題
ここからは、情報システム部がリソース不足となった場合に抱えるであろう課題についてご紹介します。担当者個人の問題だけでなく、企業全体に関わる問題もあるので、参考にしてください。
業務負荷が大きく離職の要因になる
先述したように、情シスの担当者が抱える業務は多岐に渡ります。
業務量が多いなかで、さらに担当者が少ないとなると、必然的に1人あたりの業務負荷は大きいものになるでしょう。業務負荷が大きいと担当者の不満や心身への負担となり、離職に繋がる可能性が高くなります。
人数の少ない情シス担当者の離職により、残された担当者への負荷がさらに高まるといった悪循環に陥りかねません。
社内DX化のスピードが遅くなる
DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、デジタル技術を駆使して社内業務の効率化・働き方の変革を行うことです。社内のDX化を進めるには、ITに関する知識を持った担当者が先導して対応する必要があります。
しかし、リソース不足状態の場合、通常業務の量が多く対応スピードが追いつかない可能性が出てくるでしょう。最新情報を取り込む際も、担当者1人のキャッチアップ能力によるところが大きくなり、効率良くDX化を進めることが難しい状況に。
また、通常業務に追われることで、そもそもDX化を進めるためにリソースを割けないという問題点も出てきます。
セキュリティ対策が行き届かない
1人で情シス業務を抱えている担当者の課題のなかでも、企業に対して特に影響が大きく出る部分が、セキュリティ面ではないでしょうか。
現状のセキュリティ環境を把握することはもちろん、状況によって適切かつ最新の対策を講じることも、情シスの重要な業務です。しかし、業務にリソースが割けないと、細かいセキュリティ対策にまで手が回らなくなってしまいます。
新型コロナウイルスの感染拡大によりリモートワークが普及してきた昨今、社外からのアクセスを前提とした対応が必要となってきました。そのなかで適切なセキュリティ対策を行えないと、情報漏洩にも繋がりかねません。
業務が属人化してしまう
リソース不足という状況は、特定業務の業務量に対して小人数の担当者で行っている状態です。そのため、業務が属人化しやすくなります。
業務が属人化すると、緊急のトラブルに対応できる人が少なくなってしまいます。また、例えば1人しかいない担当者が欠勤・休職・退職した際に、企業全体の業務が進められなくなる可能性もあるでしょう。最悪の場合、顧客に迷惑がかかることも考えられます。
リソース不足による業務の属人化は担当者個人だけでなく企業全体に関わる問題に発展する恐れがあるのです。
引き継ぎ不足になる可能性がある
情シス担当者が1人だけという状態となった場合、業務過多の負担から離職に追い込まれることが多いです。
仮に後任者を雇えたとしても、引き継ぎには多大な時間と労力がかかります。そして属人化した業務の引き継ぎは不十分であることが多く、前任者が場を離れたあとは後任者への負担が大きくなるでしょう。
また、前任者からきちんと引き継ぎをされないことにより、業務がブラックボックス化する可能性も考えられます。
リソース不足の課題を解消・解決するには
企業が全体の業務を円滑に行うためにも、リソース不足による課題は解消しておきたいところ。具体的にはどのような対策を行えば良いのか、詳しくご紹介していきます。
情報共有しやすい社内環境を作る
情報システム部門のリソース不足から生まれる課題のひとつである業務の属人化を解消するためには、担当者以外の人物も情シス業務について把握しておくことが大切です。「今行っている業務」「業務の状況」などを社内で共有できる環境を作りましょう。
また、教育や引き継ぎをスムーズに行うためのナレッジ蓄積として、マニュアルの作成や対応記録を残すフローの構築なども有効な手段です。
業務効率を高めるツールを導入する
情シスの業務を効率良く行うためのツールは、主に以下の通りです。
IT資産管理ツール
IT資産管理ツールとは、社内のPCやソフトウェアなどの企業のIT関連固定資産を管理するツールです。
例:IT’s Cloud、System Support best1
コミュニケーションツール
社内や社外とのやり取りを円滑に行うためのチャットツールです。
例:Slack、Chatwork
情報共有ツール
業務に必要なデータを格納し、共有するためのツールです。
例:Googleドライブ、Dropbox
FAQツール
質問とそれに対する回答をまとめたツールです。
例:OKBIZ. for FAQ、Helpfeel
社内の課題に合わせてさまざまなツールが展開されているので、導入を検討してみましょう。
アウトソーシング(外注)する
ツールの導入で対応しきれない場合は、アウトソーシングがおすすめです。
近年では情シス業務の外注業者が増え、委託内容・対応時間・専門性などさまざまな観点から比較・検討できます。定期的な業務やイレギュラー対応が必要な業務をアウトソーシングすることで、社内ではより独自性の高い業務に集中でき、サービスの質を向上させることにも繋がるでしょう。
情シス業務をアウトソーシングするメリット
情シス業務をアウトソーシングすることで、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、主に3つの観点から見ていきます。
作業(業務)効率が向上する
リソースを圧迫している業務をアウトソーシングすることで、1人で行っていたときよりも多く作業をこなせ、情シス部門での効率化が見込めます。それにより空いたリソースで、従業員は本来の業務や後回しにしていた業務に注力できるでしょう。
また、十分な知識を持っていない従業員が情シス業務を担当すると、余計に時間やコストがかかってしまいます。専門的な知識を持つ外注業者に依頼することで適切な対応が取れるだけでなく、各従業員が得意な業務・必要な業務に集中し、個人の成長やサービスの質向上にも繋がるはずです。
社内DX化のスピードアップ
社内のDX化には、専門的な知識や最新情報を効率良くキャッチアップする力が必要です。より専門性の高い業者に委託することで、現状の見直し・課題の洗い出し・改善策の提案などがスムーズに行えるでしょう。
また、問い合わせ対応やIT資産管理などのノンコア業務をアウトソーシングすることも、ひとつの手段です。ノンコア業務を担わなくて良い分、従業員がDX化に向けた戦略立案・課題改善に集中できます。
DX化推進業務の依頼とノンコア業務の依頼、どちらの活用方法が向いているかは企業によって異なるので、重要視したい項目や担当者の個性により検討しましょう。
セキュリティ対策の向上・強化
企業内情報のセキュリティ対策については、課題のなかでも重要視すべき項目です。
外注業者によっては、アウトソーシングできる範囲のなかにセキュリティ対策が含まれています。スタートアップやベンチャーなどでセキュリティに関するノウハウが構築されていない場合、外注することにより適切な対策を取れるでしょう。
「セキュリティ面は社内で」と考えている企業の場合、ノンコア業務を委託することがおすすめです。業務のアウトソーシングにより従業員に余裕ができ、セキュリティ対策を練ることにリソースを充てられます。
情シスのアウトソーシングを活用して課題を解決しよう
情シス部門のリソース不足による課題や対策についてご紹介しました。
情報システム部門は、企業によっては経営層に悩みが届きにくい部署です。その結果、「リソース不足を常に抱える情シス」の状態に陥ってしまうことも多々あります。
積極的に人材を確保することが難しいのであれば、まずは業務をアウトソーシングすることを検討してみてください。情シス担当者にとっても企業にとってもメリットがあり、Win-Winの形で業務を行えるはずです。
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