アウトソーシングとは?課題や成功へ導くためのポイントを解説
深刻な人材不足が騒がれている昨今、企業運営の主軸となる業務に社内リソースを集中させたり、採用・育成にかかるコストを削減したりするうえで、アウトソーシングは有効です。
ところがアウトソーシング自体が課題となり得る点も多く、メリットばかりに目を向けて導入すると、思わぬ損害を被る可能性も否定できません。
本記事では、アウトソーシングを活用するメリット・デメリット、導入時に意識したいポイントなどをご紹介します。今後アウトソーシングを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
アウトソーシングとは
「アウトソーシング」は、企業が外部の専門業者に業務を委託することです。
外部のリソースを利用することで業務効率化やコスト削減が可能であり、企業は自社のコア業務に集中できるため、人手不足や専門知識の活用が求められる現代社会で需要が高まっています。
特に専門スキルやリソースが不足している場合、アウトソーシングは有効な解決策です。
ただし、情報漏洩やアウトソーシング先とのコミュニケーションの課題にも注意が必要で、適切な契約やパートナーシップの構築が求められます。
アウトソーシングの種類
アウトソーシングには、「BPO」「ITO」「KPO」といった3つの種類があるのはご存じでしょうか。
ここでは、それぞれの形態について詳しく解説するので、自社に合うものがあるか確認してみてください。
BPO
「BPO(Business Process Outsourcing)」は、企業が特定の業務プロセスを一括して外部に委託する形態です。例えば、カスタマーサポート、人事・給与処理、会計業務などがBPOの対象として挙げられます。
企業は業務プロセスの効率化やコスト削減を図るため、外部の専門企業に業務を委託することで、専門知識や経験豊富なスタッフによる高品質な業務遂行や社内リソースの柔軟な活用が可能です。
また、業務の一括委託によって、自社ではコア業務に集中でき、競争力の向上が期待できるでしょう。
ITO
「ITO(Information Technology Outsourcing)」は、IT分野の業務やサービスを外部に委託する形態のこと。例えば、システム開発・保守、インフラストラクチャの運用・管理、ヘルプデスクなどがITOの対象です。
企業はITに関する専門知識やリソースを持つ外部の企業に依頼し、業務効率化や技術革新を実現します。
ITOにより、企業はコスト削減やリスクの分散、専門知識の活用、グローバルなリソースの利用などのメリットを享受できるでしょう。
KPO
「KPO(Knowledge Process Outsourcing)」は、知的業務を外部に委託する形態で、市場調査・分析、法務・特許関連業務、研究開発など、知識や専門性を要する業務が対象です。
企業は外部の専門家やコンサルタントに知識やノウハウを提供してもらい、高度な業務を遂行することができます。
KPOによって、企業は高度な専門知識やスキルを持つ人材を柔軟に活用し、イノベーションや戦略的な意思決定を促進できるでしょう。
アウトソーシングのメリット
近年、アウトソーシングという言葉はよく耳にしますが、導入するメリットはどのようなものなのでしょうか。
ここでは、アウトソーシングを導入することで得られるメリットを具体的に紹介するので、ぜひ確認してみてください。
コア業務にリソースを注げる
アウトソーシングにより、生産性の低いノンコア業務を外部に委託することで、自社社員をコア業務に集中させることができるでしょう。
例えば、人事管理や給与計算などの一括業務を外部に委託することで、社内の人材を戦略的な業務に充てることができます。
限られたリソースを最適に活用し、企業の中核的な業務に重点を置くことができるため、効率的な業務遂行や成果の最大化、競争力の強化が可能です。
業務の属人化を防げる
知識やスキルの偏りや業務の属人化を防ぐことも、アウトソーシングによって業務を外部に委託するメリットといえるでしょう。
例えば、特定の社員に依存していた業務を外部に委託することで、その社員が退職した場合でも業務を継続できます。
つまり、属人化を防ぐことで、企業は人員の変動に柔軟に対応することができ、より持続的に業務を行うことができるのです。
コストを削減できる
アウトソーシングでは、採用・育成コストや人件費、固定費などの削減効果が期待できるでしょう。
外部の専門企業やサービスプロバイダーに業務を委託することで、必要な時に必要なリソースを活用できます。つまり、人員の雇用に伴う費用や設備投資費用を削減できるのです。
また、委託先が複数存在する場合には、委託先同士の価格競争によってコストの最適化が促されることもあります。
専門的なノウハウを調達できる
専門的なノウハウや最新の知識を取り入れられることも、アウトソーシングのメリットです。外部の専門業者は幅広い経験と専門知識を持っており、高品質な業務を提供してくれます。
IT分野においては、セキュリティ対策やシステム開発などの専門的な業務をアウトソーシングすることで、自社では得難い専門知識やノウハウをサービスに取り入れられるため、業務効率の向上や品質の向上、イノベーションの促進などが期待できるでしょう。
アウトソーシングのデメリット
アウトソーシングにはメリットだけでなくデメリットも存在します。
ここではアウトソーシングのデメリットを解説するので、確認していきましょう。
情報漏洩のリスクがある
アウトソーシングによる業務委託では、自社の重要な情報を外部に渡す必要が生じます。
DX化の促進などにより、情報が企業の資産として大きな価値を持つようになった昨今において、情報漏洩は深刻な問題です。
適切な契約やセキュリティ対策を実施し、情報の取り扱いに慎重になる必要があります。また、情報共有を最小限に抑える手段や、委託先のセキュリティ体制の確認も大切です。
業務プロセスを把握しにくい
アウトソーシングにより業務が外部に委託されると、ガバナンスが弱まり、どのような業務プロセスで遂行されているのか把握しづらくなる場合があります。
品質管理や業務効率化の観点から、委託先の業務プロセスを適切に把握し、透明性を確保することが重要です。
契約書や報告体制の整備、定期的なミーティングや監査を通じて業務の進捗や品質を確認しましょう。
自社に経験やノウハウが蓄積されない
アウトソーシングに頼り切ってしまうと、自社における経験やノウハウの蓄積が十分にできない可能性があります。
一方で、アウトソーシング先との継続的なコミュニケーションや知識共有の取り組みにより、経験やノウハウの一部を自社に取り込むこともできるでしょう。
積極的な知識の吸収や情報交換を行い、委託先との協力関係を築くことで、自社の成長と競争力の向上につなげてください。
コストが高くなる場合がある
アウトソーシングには費用がかかるため、適切なコスト管理が重要です。契約内容や委託先の料金体系を明確にし、見積もりと実際の費用の差異を把握しましょう。
また、契約範囲やサービスレベルの変更に伴う追加料金にも注意が必要です。コストと品質のバランスを考慮し、費用対効果を最大化することが求められます。
しっかりとしたコスト管理を行い、アウトソーシングの成果を最大限に引き出しましょう。
アウトソーシングを成功へ導くポイント
ただ漠然とアウトソーシングを行ってしまうと、コストが嵩むだけで期待した成果が得られないことがあります。
アウトソーシングで失敗しないために意識したいポイントを説明するので、ぜひ参考にしてみてください。
現状課題を把握する
アウトソーシングの成功には、現在の課題を把握し、改善点を明確にすることが重要です。具体的な目標を決めて、アウトソーシングの必要性を検討しましょう。
また、委託先に求める役割や成果を明確化することも大切です。同時に業務の標準化を進め、属人化を解消することで、将来の業務継続性を確保できるでしょう。
これらを考慮し、戦略的な計画を立て、効果的なアウトソーシングを実現してください。
外注すべき業務か見極める
アウトソーシングを検討する際には、コア業務とノンコア業務を見極める必要があります。
コア業務には企業の競争力に直結する重要な業務が含まれるので、自社で遂行するのが一般的です。一方、ノンコア業務は企業の利益に直接関わらない業務であり、外部に委託することで効率化やコスト削減が期待できます。
適切な業務の選別を行い、アウトソーシングの対象とすべき業務を明確にしましょう。
責任範囲を明瞭化する
アウトソーシングを行う際には、万が一トラブルが発生した場合に備えて責任範囲を明確にすることが大事です。
契約書やサービスレベル契約(SLA)を活用し、アウトソーシング先との責任範囲や義務を明確に定義しましょう。
これにより、トラブルが発生した際に責任の所在を迅速に特定し、不要な揉め事や問題の混乱を防ぐことが可能です。明確な責任範囲は円滑な問題解決とスムーズな業務継続につながります。
定期的に情報を共有する
アウトソーシングを行っている場合でも、定期的な情報共有は欠かせません。
アウトソーシング先に業務を丸投げにしてしまうと、業務内容や品質管理に目が行き届かなくなるため、定期的な打ち合わせや報告体制を確立し、情報を共有しましょう。
進捗状況や課題の早期発見、改善策の検討などを通じて、業務の効率化や品質向上を図ることができます。
円滑なコミュニケーションによって信頼関係を築き、アウトソーシングの成果を最大限に引き出してください。
目的を明確にしてアウトソーシングしよう
企業が直面するさまざまな課題やニーズに対応するために、アウトソーシングの活用は有益ですが、成功には明確な目的設定が不可欠です。
アウトソーシングの目的を明確にすることで、必要な業務の外部委託や専門知識の取り込み、コスト削減の実現など、具体的な成果を生み出すことができます。
目的を明確に定め、効果的なアウトソーシング戦略を構築することにより、企業の競争力を向上させてください。
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