アウトソーシングの意味とは?派遣との違いや委託範囲まで解説

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「アウトソーシング」は、企業の業務効率化を図る上でとても有効な手段です。「人材派遣」と勘違いされることも多いですが性質が異なります。

アウトソーシングを上手に活用するためには、現状の課題分析や委託すべき業務の選定が大切です。やみくもに活用しようと試みると、むしろマイナスの影響を受けてしまう可能性も。

この記事では、アウトソーシングの意味をはじめとする基礎知識から、メリット・デメリット、そのほか派遣との違い、検討時の注意点までご紹介します。今後の導入のためにも、ぜひ参考にしてみてください。

アウトソーシングとは?意味を把握しよう

アウトソーシングとは?意味を把握しよう

「アウトソーシング」とは、社内業務の一部を外部委託するサービスのことを指します。

たとえば、来客や電話対応を業務の合間に行う場合、たびたび業務が中断されて集中しづらいですよね。そこで事務作業をアウトソーシングすれば、そのほかの社員は自分の業務に専念でき、スムーズに進捗するでしょう。

このように、アウトソーシングの利用には、主に業務効率や企業の生産性を向上させる意味があります。

アウトソーシングの需要が増えている背景

アウトソーシングが注目され、需要が増えている背景には、少子高齢化や事業拡大の影響による人材不足、市場における他社との差別化が関係しているといわれています。

具体的にどのような目的で導入されるのか、詳しく見ていきましょう。

人材不足

近年は少子高齢化によって若い世代の労働者数が減少しており、各企業では新たな人員の確保が厳しくなっています。特にITのような専門分野においては、業界全体で慢性的に人材が不足。限られた人員で業務を割り振る必要があるので、社員一人ひとりにかかる負担が大きくなりがちです。

このような状況では、作業効率や質が低下するリスクも否めません。貴重な社内人材のリソースを確保するために、直接利益に繋がらないノンコア業務をアウトソーシングする企業が増えています。

競争力を高める

競合他社には真似できないサービスや商品を提供して差別化を図るには、自社の競争力を高めることが重要です。

企業の根幹となるコア業務に経営資源や人材を集中させることで、技術向上やノウハウの蓄積、強みのさらなる強化につながり、競争力を高めることができます。

そのためにもアウトソーシングを活用し、コア業務へ専念できる環境を構築することが必要です。

経営の多角化

変動の著しい市場のなかで企業が存続していくためには、既存の事業拡大のみならず新規分野への進出を求められることもあるでしょう。さまざまな分野を開拓して経営を多角化することで、企業の成長や利益・認知度の向上が期待できます。

しかし、増加した業務量をこなすには人員の確保も必要です。自社内ですべてカバーしようとすると、業務効率が落ちてサービスや商品の質を維持できなくなるリスクは否めません。

そこで一部業務はアウトソーシングし、人員不足を補完する目的があります。

人材派遣・シェアードサービスとの違い

人材派遣・シェアードサービスとの違い

アウトソーシングと混同されがちなサービスとして挙げられるのが、「人材派遣」「シェアードサービス」です。似ている部分はあるものの、根本的な性質に違いがあります。

どのような点が異なるのか、以下を参考にしてみてください。

人材派遣とは

人材派遣とは、派遣会社が雇用する社員を企業へ派遣し、現場の指揮命令のもと業務に従事させるサービスのことをいいます。

派遣社員の雇用先は派遣会社ですが、業務内容については派遣先の企業が直接指示するため、スケジュール管理や進捗状況の把握は自社で行わなければなりません。

一方のアウトソーシングは、請負契約した先の企業へ業務全般を委託することで、人材や業務の管理、指揮命令まで外部企業がすべて担います。そのため委託した業務に関しては自社で細かく指示する必要がなく、その分ほかの優先すべき業務にあたることが可能です。

つまり人材派遣とアウトソーシングの明確な違いは、業務管理を自社で行うか、外部企業が行うかという点でしょう。

シェアードサービスとは

シェアードサービスとは、グループ会社それぞれが担うノンコア業務を1カ所に集約して行う企業改革のこと。これはグループ全体のノンコア業務に割く時間を減少させ、本業に専念できる時間を増やす効果があります。

アウトソーシングも同じようにコア業務へ集中させる目的があるものの、ノンコア業務にあたるのは外部委託先の社員です。よって、企業内の社員もしくは外部の社員、どちらがノンコア業務を担当するかという違いがあります。

アウトソーシングのメリット

アウトソーシングの利用価値は、単純な人手不足の解消だけではありません。そこに付随するいくつかのメリットが、企業としての成長・発展に大きく影響する可能性があるでしょう。

ここでは、アウトソーシングを活用するメリットを4つ解説します。

人材コストがかからない

自社で新たに人材を採用して育成する場合、採用にかかるコストや、給与などの固定費、教育やマネジメントのための人件費といったあらゆるコストがかかります。

一方でアウトソーシングを請け負っている企業では、専門性の高い知識やスキルを身につけた人材が揃っていることがほとんど。即戦力となるプロフェッショナルな人材を得られるので、時間も費用も削減でき、効率よく業務を遂行していける点がメリットでしょう。

業務の効率化を図れる

企業は活動の根幹となるコア業務と、それを支援するノンコア業務で成り立ちます。

コア業務は直接的に利益につながったり、専門的な判断が必要だったりと、企業の核となる業務のことです。一方、ノンコア業務は利益に直結せず、型もある程度決まっているもの。たとえば人事や経理、総務などが挙げられます。

ノンコア業務に割く時間が多いと、コア業務へ十分な経営資源を確保できず、企業の売上や成長に伸び悩む可能性も出てくるでしょう。とはいえノンコア業務は企業とって必要不可欠であり、疎かにはできません。

アウトソーシングを活用して外部に委託すれば、自社社員は本来の業務に集中でき、効率化を図れる利点があります。

コスト削減に繋がる

コスト削減に繋がる

企業の経営・維持・発展においては、あらゆる面でコストが発生します。特に業務を遂行していくために必要な人員への給与は、企業側が必ず支払わなければならない固定費であり、たとえ売上が落ちたからといって勝手に減らすことはできません。

アウトソーシングなら、売上によって報酬を変動させられます。人材の採用・教育・労務管理といった工数も減るので、結果的に人件費を含むさまざまな固定費の削減に繋がるでしょう。

組織の肥大化を防げる

時代のニーズや市場の動向に置いていかれないためには、ある程度の事業拡大は必要不可欠でしょう。

ところがあらゆる事業へ展開することによって組織が肥大化し、コア業務に投入するリソースが不足してしまうことも珍しくありません。そうなると企業の核となる機能が弱まり、利益や生産性の低下を招くことも否めないでしょう。

コア業務以外はアウトソーシングする、または肥大した部分を切り離しアウトソーシング先として独立させることで、組織のスリム化を目指せます。

アウトソーシングのデメリット

アウトソーシングにはメリットだけでなく、デメリットや注意すべき点も存在します。あらかじめマイナス面も理解したうえで、うまく活用していくことが大切です。

どんなデメリットがあるのか、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

情報漏洩のリスクがある

業務をアウトソーシングするには、顧客情報や従業員情報、売上データなど、社内の機密情報を外部へ提供しなければなりません。自社でどんなに厳重なセキュリティ対策をしていても、外部へ渡した情報に関しては管理・対処ができなくなります。

もちろん、アウトソーシング企業側もしっかりと対策を講じている場合がほとんどです。しかし他社の内情をすべて把握することは難しいため、委託先のセキュリティレベルによっては情報漏洩が発生する可能性もゼロではないでしょう。

アウトソーシングにはこのようなリスクを伴うことも考慮して、外注するかの判断や業者の選定を行う必要があります。

社内ナレッジが蓄積されない

社内のナレッジやノウハウは、実際に業務を経験していくなかで得られます。アウトソーシングした場合、特定の業務に関しては外部がすべて遂行・管理するため自社内に蓄積されていかず、社員の経験値も向上しません。

ゆくゆくは内製化したり、突然アウトソーシング企業が倒産してしまう可能性もあるでしょう。将来的なリスクも考えて、定期的に情報を共有することが重要です。

余計にコストがかかる場合がある

アウトソーシングをうまく活用すれば、人件費や固定費の大幅な抑制が期待できます。ところが委託する業務によっては、余計なコストがかかる例も少なくありません。

たとえば自社内で効率的に行っていた業務をアウトソーシングしたことで、逆に非効率化してしまう場合があります。また、オペレーション不足で適正コストの判断できないと、費用対効果が悪くなってしまうこともあるでしょう。

業務について十分に把握しないまま、やみくもにアウトソーシングすることは避けるべきです。

社内の現状把握が難しくなる

企業によっては、特定分野の業務を一貫してアウトソーシングしようと考えることもあるでしょう。その場合、業務がどのように進められているのか把握しづらくなることは否めません。

すべて外部に丸投げ状態のままでいると、品質の低下や重大なミスがあっても気づけないリスクがあります。企業をより良くするつもりが、アウトソーシングによって企業の信用が落ち、売上や利益が減ってしまっては本末転倒です。

委託先に任せきりにせず、常に自社でも業務内容を把握・管理できるよう線密に打ち合わせを行いましょう。

アウトソーシングに適した業務

アウトソーシングに適した業務

どんな業務でもアウトソーシングできるわけではありません。企業の利益を左右する重要な業務や、イレギュラーな判断が必要となる業務は不向きといえます。

逆にアウトソーシングに適しているのは以下のような業務です。

ノンコア業務

企業の中心となる専門分野に経営資源を集中させたいときは、そのほかのノンコア業務をアウトソーシングすることで実現できるでしょう。

ただし、ノンコア業務とひと言で表しても、業務内容は多岐にわたります。どの業務にアウトソーシングが必要か、しっかりと判別して無駄なく活用することが大切です。

具体的なノンコア業務は下記を参考にしてください。

  • 電話対応
  • 事務作業
  • 在庫管理
  • 人事業務
  • 秘書業務
  • 経理業務
  • 総務業務
  • 営業

専門的な業務

基本的にアウトソーシングする業務は、マニュアルが決まっているようなルーティン業務がメインです。

しかし、IT関連などの専門分野においても、自社内に知識を持った人材がいなかったり、新たな人材の確保に難航したりする場合は、専門業務をアウトソーシングすることも検討しましょう。

アウトソーシングに適した専門的な業務には、以下のようなものがあります。

  • システム構築
  • 保守運営

アウトソーシングは形態は3種類に分けられる

アウトソーシングは、「BPO」「ITO」「KPO」という3種類の形態に大きく分けられます。それぞれ、対象とする分野および業務内容が異なる点が特徴です。

各形態にはどのような違いがあるのか詳しく見ていきましょう。

BPO

BPOは「Business Process Outsourcing(ビジネスプロセスアウトソーシング)」の頭文字をとった言葉です。

単一業務を一時的に委託する通常のアウトソーシングに対し、BPOでは業務プロセスを一貫して継続的に外注します。主に各種事務やヘルプデスク、営業などがBPOに適している業務といえるでしょう。

ITO

ITOは「Information Technology Outsourcing(インフォメーションプロセスアウトソーシング)」の略称です。

これは情報システムや情報技術など、IT分野に限定した業務委託のことを指します。IT化が進む現代においては、自社で対応するより専門の外部企業に委託したほうが効率よく遂行できる、と考える企業が増えているのでしょう。

KPO

KPOとは「Knowledge Process Outsourcing(ナレッジプロセスアウトソーシング)」を略した言葉です。

業務のなかでもデータ収集・分析・加工を中心とした、定型化の難しい業務をアウトソーシングするもの。たとえば医療開発における治験データの収集など、専門性の高い知的生産活動がKPOに該当します。

アウトソーシングを検討する際のポイント

アウトソーシングを検討する際のポイント

実際にアウトソーシングの導入を検討するときには、いくつか意識したいポイントがあります。

以下に挙げる3点は、リスクを回避し無駄なくアウトソーシングを活用するためにも必要といえるでしょう。それぞれのポイントについて解説します。

依頼業務

まずはアウトソーシングする業務について、どの部分まで外部委託するのか、どこまでのフローを請け負ってもらうのかをしっかり分析して切り出すことが重要です。

依頼業務を明確化することによって、委託先との認識に齟齬が生じるリスクが下がるでしょう。また、その業務に対して強みをもつアウトソーシング企業の選定がしやすくなったり、予算を決めやすくなったりする目的もあります。

予算

業務の効率化ばかり追い求めると、費用面において逆にマイナスとなってしまうこともあるかもしれません。

社内の人員にかかる人件費などのコストを正確に洗い出し、アウトソーシングに必要な見積りと比較しましょう。きちんと安く抑えられていれば問題ありませんが、かえって高くつくようなら見直しが必要です。

セキュリティ

業務をアウトソーシングするうえでは、社内の情報やマニュアルを外部企業へ提供することは避けて通れません。だからこそ、セキュリティ面において信頼できるかどうか見極めることが大切。

万が一情報が漏れれば、長年築き上げてきた企業の信頼も一瞬で失われてしまいます。経費を抑えたいからといって外注費の安さに目を眩ませず、セキュリティレベルの高さに信用をおける委託先を選定しましょう。

賢く効率的にアウトソーシングを活用しよう

アウトソーシングを活用すれば、人材不足の解消・コストの削減・業務の効率化・利益向上などあらゆるメリットにつながります。

ただし外部委託は、決して丸投げすることではありません。委託先と線密に情報をすり合わせながら、常に業務内容を自社内でも徹底把握・管理することが、アウトソーシングを成功へ導く鍵となるでしょう。

ぜひ本記事を参考に、アウトソーシングの導入を検討してみてはいかがでしょうか

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