情報セキュリティ対策の3つの種類(人・物理・技術)を徹底解説

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近年、企業内のシステムの複雑化・肥大化を受け、ますます対応が難しくなっている情報セキュリティ対策。

「情報セキュリティ」と一括りに考えるのではなく、ある程度種類に分けて、それぞれについて対策を講じることが重要になっています。

この記事では、セキュリティ対策を3つの種類に分け、それぞれの重要性や対策方法についてまとめました。年々重要性を増しているセキュリティ対策についてお悩みの担当者は、ぜひ参考にしてください。

情報セキュリティの重要性

情報セキュリティの重要性

デジタル化が進んでいる昨今、企業の情報はますます貴重な資産となっています。そのなかで、情報セキュリティ対策が企業にとって重要な役割をになっていることは疑いようもありません。

ここでは、情報セキュリティの重要性について解説するので、情報の保護がいかに大切か、その理由と具体的なリスクについて確認してみてください。

情報システムの停止による損失

情報セキュリティの重要性を考えるうえで、まず注目すべき点は情報システムの停止による損失です。

企業の情報システムが攻撃や障害によって停止すると、業務の中断やデータの損失が発生し、大きな経済的損失を被る可能性があります。

顧客情報や取引データの漏洩・破損により、企業の信頼性が失われ、顧客の離反や法的な問題に直結することもあるため注意しましょう。

企業の信頼・ブランドイメージの失墜

情報セキュリティにおいてもうひとつ重要なポイントは、企業の信頼とブランドイメージの失墜です。

セキュリティ対策の不備や情報漏洩は、顧客や取引先に対する信頼を損なうことがあり、企業のブランドイメージに深刻な影響を与えます。

顧客やパートナー企業からの信頼を失えば、新規ビジネスの獲得や既存顧客の維持が困難になることもあるでしょう。

取引先・顧客への被害の波及

情報セキュリティの不備は企業だけでなく、取引先や顧客にも被害を及ぼす可能性があります。

漏洩した情報が悪用されたり、取引先や顧客のシステムに侵入されたりすることで、相手方にも深刻な被害を及ぼすでしょう。

このような被害の波及は、企業のビジネスパートナーや顧客との信頼関係を損なうだけでなく、法的な問題や経済的損失にもつながる可能性があります。

セキュリティの脅威を分類する

セキュリティには様々な脅威が存在し、その範囲は広範かつ複雑です。効果的な対策を考えるためには、脅威を分類して切り分ける必要があります。

一般的にセキュリティの脅威は、サイバー攻撃・物理的な脅威・人為的な脅威などに分類され、それぞれの脅威に対して適切な対策を講じて、総合的な安全性を確保しなければなりません。セキュリティの脅威を明確に把握し、適切な対策を検討しましょう。

情報セキュリティ対策の3つの種類

情報セキュリティを確保するためには、幅広い範囲にわたっての対策が必要です。主要な対策は物理的対策・技術的対策・人的対策の3つに分類されます。

それぞれの対策の概要と特徴、そして具体的な作業について説明するので、ぜひ確認してみてください。

物理的対策

「物理的対策」は、情報システムやデータを物理的に保護するための対策のこと。主な対策は、セキュリティエリアの制限、セキュリティカメラの設置、アクセス制御の強化などです。

具体的には、パソコンやサーバールームの鍵の管理、不正侵入を防ぐためのセキュリティカメラの設置、セキュリティゲートなどを用いたアクセス制御などを実施すると良いでしょう。

物理的対策は、物理的な環境のセキュリティを確保することで、外部からの不正アクセスや破壊行為を防ぐ役割を果たします。

技術的対策

「技術的対策」は、情報システムやデータのセキュリティを確保するために、技術的な手段を用いる対策です。

「パソコンやネットワークにファイアウォールを設置し、不正アクセスやマルウェアの侵入を防ぐ」「重要なデータの暗号化を行い、情報漏洩を防止する」などの対策を講じると良いでしょう。

技術的対策は、情報システムのセキュリティを強化し、不正なアクセスや攻撃から守る役割を果たします。

人的対策

「人的対策」は、情報セキュリティを確保するために、従業員の教育や意識向上に重点を置く対策のこと。セキュリティポリシーの策定と従業員への啓発などを行います。

具体的には、「従業員に対して定期的なセキュリティ教育を実施し、情報セキュリティの重要性や適切な利用方法を啓発する」ことなどがあります。

人的対策により、従業員の意識と行動を向上させ、内部からのセキュリティリスクを軽減することが可能です。

3段階の情報セキュリティ対策

3段階の情報セキュリティ対策

情報セキュリティを確保するためには、いくつかの段階に分けて対策を講じる必要があります。

ここでは、それぞれの段階の概要と特徴、具体的な対策ポイントについて説明するので、セキュリティ対策を行う際の参考にしてみてください。

問題発生の防止

問題発生の防止は、情報セキュリティを確保するうえで最も重要な段階です。予防策の実施とセキュリティポリシーの遵守を徹底しましょう。

具体的な対策としては、パソコンやネットワークのセキュリティ設定の強化、強固なパスワードの使用、定期的なシステムのアップデートなどがあります。

さらに、従業員への教育や意識向上も重要です。社内でのセキュリティポリシーの周知徹底やセキュリティ意識の向上を図ることで、問題発生のリスクを軽減します。

問題の検知と状況の把握

問題の検知と状況の把握の段階では、早期にセキュリティ上の問題を発見し、その状況を把握することが重要です。

侵入検知システムやログ管理ツールの導入、不審なアクティビティや異常なパターンの監視、ログの定期的な分析と監査などの対策を行いましょう。

適切な監視とログ管理により、セキュリティインシデントを早期に検知し、迅速な対応を行うことが可能になります。

迅速なトラブル対応

問題が発生した際には、迅速かつ適切に対応することが求められます。

インシデント管理プロセスの策定と実施、緊急連絡先や対応チームの設定、バックアップと復元の計画立案などを実施することで、セキュリティを強化しましょう。また、インシデント発生時の迅速かつ適切なコミュニケーションや報告体制の確立も重要です。

迅速なトラブル対応により、被害の拡大や影響の深刻化を防ぎ、事態の収束を早めることができるでしょう。

情報セキュリティ対策のポイント

セキュリティ対策を有効なものにするには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。

ここでは、情報セキュリティ対策のポイントについてお伝えするので、適切な対策を講じて、セキュリティリスクを最小限に抑えましょう。

社員教育とマニュアルの整備

社員教育とマニュアルの整備は、情報セキュリティ対策に欠かせません。

社員に対してセキュリティ意識を高めるための教育プログラムやトレーニングを実施し、セキュリティポリシーの周知徹底を図ることが重要です。

また、セキュリティに関する適切なマニュアルやガイドラインを整備し、従業員が日常業務でセキュリティに対応できるようサポートすることも必要でしょう。

テレワークへの対応

近年、テレワークの普及により、情報セキュリティ対策はさらに重要性を増しています。

遠隔での業務を行う場合、セキュリティリスクが増加する可能性があるため、テレワーク環境におけるセキュリティ対策は重要です。VPNの利用、安全な通信手段の確保、適切なアクセス制御などを実施しましょう。

また、従業員に対してテレワークにおけるセキュリティについての教育やガイドラインを提供することで、テレワークでもリスクを抑えて業務に当たることができます。

不正アクセスの早期発見・遮断

不正アクセスの早期発見と遮断は、セキュリティ対策の重要なポイントです。異常なアクティビティや不審なログイン試行などを検知し、迅速に対応することが求められます。

侵入検知システムやセキュリティ情報とイベント管理(SIEM)ツールの活用、マルウェア対策の強化、セキュリティ監視などを実施しましょう。

常に最新バージョンにアップデート

ソフトウェアやシステムの最新バージョンへのアップデートは、セキュリティ対策において有用です。

最新のパッチやセキュリティアップデートは、既知の脆弱性やセキュリティ上の欠陥を修正するものになっています。

定期的なアップデートの実施により、最新のセキュリティ対策を維持し、悪意ある攻撃や脅威からシステムを保護することができるでしょう。

セキュリティ診断も有効

セキュリティ診断は、システムやネットワークの脆弱性を洗い出し、問題の発見と修正を行うための重要な手法です。

定期的にセキュリティ診断を実施することで、システムの脆弱性やセキュリティリスクを特定し、対策を講じることができます。

自社で診断ツールを活用して分析する方法もありますが、外部の専門機関に依頼することも可能です。

企業の情報セキュリティ対策の具体例

ここでは、実際に企業で行われたセキュリティ対策の具体例をお伝えします。

自社の状況と照らし合わせながら確認してみてください。

セキュリティ確保 | ホテルゆがふいんおきなわの

「ホテルゆがふいんおきなわ」は、沖縄県名護市でテレワーク利用者向けにコワーキングスペース「ハナウール」を提供しています。

ネットワーク回線のセキュリティに関する利用者の不安を解消するため、脆弱性診断を外部企業に依頼しました。

診断結果に基づいてリスク要素を修正。安心・安全な環境を提供することで、顧客へのセキュリティ確保のアピールが可能となり、信頼性の向上と競争力の強化を実現しました。

(参考:導入事例 ホテルゆがふいんおきなわ|サイバートラスト

情報セキュリティ運用体制 | リビエラグループ

「リビエラグループ」は、プライバシーマーク取得後、より適切なセキュリティ運用体制を模索し、セキュリティコンサルティングサービスを導入しました。

適切な運用体制をとることで、従業員の負担が軽減され、個人情報保護の体制が向上したのです。

信頼性の高いセキュリティ対策を実現したことで、利用者やパートナー企業からの信頼を獲得しました。

(参考:導入事例 リビエラグループ|サイバートラスト

電子署名付き電子メール | 株式会社エムアイカード

「株式会社エムアイカード」は、急増するフィッシングメール対策としてシステムを導入し、顧客向け電子メールに電子署名を付与して送信者の確認と内容の改ざん防止を実現。

この導入によって、なりすましや改ざんがないことを証明し、エムアイカードの積極的なセキュリティ対策の取組みは顧客からの信頼を高めました。

(参考:導入事例 株式会社エムアイカード|サイバートラスト

EV SSL導入 | 株式会社ネットフォレスト

「株式会社ネットフォレスト」は、セキュリティ対策に重点を置き、通常のSSL証明書よりも厳格な審査を経て発行されるEV SSLサーバー証明書を導入しました。

すべてのページをSSL通信化することで、顧客の情報保護と信頼性の向上を実現。これにより、企業名の表示や信頼性の高さが強調され、公式サイトへのアクセスや問い合わせの増加、数々の賞を受賞するなどのメリットを享受しました。

(参考:導入事例 株式会社ネットフォレスト|サイバートラスト

情報セキュリティの脅威一覧

ここでは、情報セキュリティの脅威を一覧でご紹介します。

組織への脅威

マルウェアによる攻撃

ウイルス・ワーム・トロイの木馬などが組織内のシステムに感染し、データ破壊や盗難、システムの停止を引き起こす可能性があります。

サイバー攻撃

ハッカーによるネットワークやシステムへの侵入、不正アクセス、データの改ざん、情報の漏洩などが組織の機密情報や顧客データに被害をもたらすことが考えられるでしょう。

内部犯罪

組織内部の従業員が意図的または過失によってデータの不正利用、情報漏洩、資産の盗難などを行うことで、組織に大きな損失や信頼の失墜をもたらす恐れがあります。

個人への脅威

フィッシング詐欺

詐欺師が偽のウェブサイトやメールを使って個人の情報(パスワード、クレジットカード情報など)を騙し取る手法。個人の財産や個人情報の盗難につながる可能性があるでしょう。

オンライン詐欺

インターネット上での個人間取引やコミュニケーションにおいて、偽の商品・サービスの購入、出会い系詐欺や投資詐欺などに巻き込まれるリスクが潜んでいます。

プライバシー侵害

個人のプライバシーを侵害する行為、盗撮や盗聴、SNS上での情報漏洩などが個人の安全や信頼に影響を与える可能性が考えられるでしょう。

このように、情報セキュリティの脅威は組織だけでなく個人にも大きな影響を与えるものです。マルウェアやサイバー攻撃は日々進化し、巧妙化しています。

また、ソーシャルエンジニアリングや内部犯罪などの人的要素も重要な脅威であり、個人ではフィッシング詐欺やオンライン詐欺に警戒し、情報の適切な管理が必要です。

組織は適切なセキュリティ対策や教育を行うことで、情報漏洩やシステムへの不正アクセスを防止する必要があります。

情報セキュリティを確保するためには、組織と個人の双方が協力し、脅威に対する意識と対策の強化を図ることが重要です。

情報セキュリティの問題点

情報セキュリティの問題点

現代のテクノロジーの進化に伴い、新たな課題や脅威が生まれています。

ここでは、情報セキュリティの問題点についてお伝えするので、適切な情報セキュリティ対策を行うための参考にしてみてください。

サイバー攻撃の手法の多様化

サイバー攻撃の手法は日々進化し、多様化。従来のウイルスやマルウェアだけでなく、フィッシング・ランサムウェア・ソーシャルエンジニアリングなど、巧妙かつ高度な攻撃手法が増加しています。

従来のセキュリティ対策だけでは対応しきれない場合があるため、常に最新の脅威情報をキャッチアップし、セキュリティソフトウェアやファイアウォールの更新を行うことが重要です。また、従業員の教育や意識向上も欠かすことができません。

社内システムの複雑化・肥大

現代のビジネス環境では、企業の社内システムが複雑化し、肥大化している傾向があります。

多くのアプリケーションやシステムが連携し、大量のデータがやりとりされるため、セキュリティの管理や監視が非常に難しいです。さらに、適切なアクセス制御やデータの暗号化、システムの脆弱性への対応が求められます。

システムのモニタリングやログの分析、アクセス権の厳密な管理、セキュリティポリシーの策定と遵守が必要です。

扱うデータ量の肥大化

企業が扱うデータ量は急速に増加しており、その保護と管理は課題となっています。

保管やバックアップ、転送の際のセキュリティリスクも増えており、データの分類と重要度の評価、データの暗号化と適切なキーマネジメント、アクセス制御と監査の強化が重要です。

また、データの定期的なバックアップと災害復旧計画の策定も実施しておくと良いでしょう。

リスクや種類を把握して最適なセキュリティ対策を

情報セキュリティ対策には、リスクと脅威を正確に把握し、最適な対策を講じることが重要です。組織や個人にとっての脅威は多岐にわたりますが、適切な対策を取ることで情報漏洩や不正アクセスを防止できます。

セキュリティ対策は常に最新の状況に適応させ、定期的な教育や更新を行うことが必要です。リスクマネジメントを通じてセキュリティ対策を最適化し、情報の保護と安全性を確保しましょう。

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