PC管理の必要性は?目的やPC管理台帳の項目、おすすめツールを紹介
IT資産の管理やセキュリティ対策など、さまざまな面で重要な役割を担う「PC管理」。PC管理を任されたものの、何から手を付けたらいいか全く分からない…そんな悩みを持っている方もいるかもしれません。
PC管理には決められた形式があり、それに沿った形で進めた方が合理的です。また、最近では必要な項目を自動的に管理してくれるツールも存在するので、その活用も望まれるでしょう。
人間の手で管理していたら、やはり間違いは起きますし、近年ではアプリケーションのバージョンなどは自動更新されることも多いので、手動での更新だと追いつかなくなる可能性があります。
この記事に書いてあるPC管理方法やおすすめツールを参考に、正しい知識を持ったうえで適切な管理ができるように努めてください。
PC管理とは?
「PC管理」とは、企業が所有するPCのハードウェアとソフトウェアの両方の情報を把握し、PC管理台帳の作成や管理番号の付与、取り扱いルールを設けるなどして適切に管理することを指します。
社内の情報や資産は、社内のPCで運用されることが一般的です。しかし、PCを利用する従業員が増加すればするほど、さらに管理に時間と手間がかかってしまいます。
効率的に社内のPCを管理するための手法やツールの需要が高まっているので、ここからさらに詳しくみていきましょう。
なぜPC管理が必要か
いまや日常業務に欠かせない存在となったPCには、取引先とのやりとりから企業内部の機密情報に至るまで、あらゆる情報が格納されています。
「誰がどのPCを管理しているのか」「どのPCに必要な情報があるのか」といった事態が発生し、必要な情報を手に入れるために無駄な時間を費やしてしまうことは防がなければなりません。
適切なPC管理を行うことで、そのような事態から抜け出し、PC本来の強みを活かした業務運営が可能になります。
また、管理体制を統一できないことにより生じる情報漏洩リスクや、そのほかの管理上のリスクを軽減するためにも、PC管理が求められているのです。
PC管理をする目的
PC管理をしていないと、ソフトウェアが違法にコピーされたり、機密情報が流出したりというようなトラブルが生じる恐れがあります。
そのような問題は、事前に防がなければなりません。ここでは、PC管理を行う目的を詳しく説明します。
コンプライアンスの遵守
従業員がPCを利用して、ソフトウェアのインストールやOSのアップデートなどを行う際には、企業が決めたルールに則るよう努めなければなりません。
仮にソフトウェアの使用許諾契約に違反すれば、コンプライアンス上、重大な問題となってしまいます。
コンプライアンスの遵守のため、PCやソフトウェアを適正に利用することも、PC管理の目的のひとつです。
セキュリティ対策
PC管理は、ウイルス感染の予防とウイルスに感染した場合、どちらの場合にも非常に大切になります。
例えば、PCの持ち出しルールを策定することで、従業員が不用意に社外にノートPCなどを持ち出すことをなくし、PCを紛失してしまったとしても、第三者の使用によるウイルスの侵入や情報漏洩を未然に防ぐことが可能です。
また、ウイルスの侵入時もどこからの侵入なのか特定を早めることができ、迅速に問題を解決するために役立ちます。
PC管理の基本的な項目
企業としてコンプライアンスを遵守すること、そしてセキュリティを高めることがPC管理の主な目的ですが、実際PC管理をするのに必要な項目とは何でしょうか。
PC管理の主流である、IT資産管理・インベントリ管理・ライセンス管理について詳しくみていきましょう。
IT資産管理
「IT資産管理」とは、固定資産台帳の管理項目にPCなどのIT機器を追加し、そのほかの固定資産と同様に減価償却をしながら管理することです。
PCであれば、購入時点で固定資産として台帳に登録し、定期的に調査・記録することで個々の状態を適切に把握します。
企業の所有するIT資産としてPCを位置付けることで、セキュリティやコンプライアンス強化も期待できるでしょう。
インベントリ管理
「インベントリ管理」とは、資産台帳に掲載される在庫の調査や棚卸しなどのインベントリ情報を収集し、適切に管理・運用することをいいます。
企業内のPCもインベントリとして扱うため、一つひとつのPCの性能やインストールされているソフトウェアの名称などの記載が必要です。
定期的に動作チェックも行い、スペックが変更された場合は、変更点を台帳に追加していきます。
ライセンス管理
「ライセンス管理」とは、それぞれのPCが保有しているソフトウェアのライセンス情報が、台帳上の情報と一致しているか確認することです。
ソフトウェアは著作権法で保護されているため、違法状態で使用することは許されません。万が一ライセンス切れを発見した場合は、すみやかに追加購入やソフトウェア自体の変更を検討しましょう。
PC管理台帳の主な項目
PC管理台帳は、社内のPCやソフトウェアを効率よく管理するために利用します。PC管理台帳の作成には、適切な情報を集めることが重要です。管理台帳にはどのような内容を記載するべきなのか、主な項目を紹介します。
- メーカー
- 機種
- シリアルナンバー
- OS(バージョン)
- メモリー容量
- ハードディスク容量
- コンピュータの名称
- IPアドレス
- 使用者
- 設置場所
- インストールされたアプリケーションとバージョン
- 購入年月日
このような情報を台帳に記載していきます。情報を人力で収集するのは非常に手間がかかるため、収集ツールなどを使うことで作業を効率化しましょう。
また台帳は作ったら終わりということではなく、日々メンテナンスをする必要があります。機器の入れ替えが頻繁に行われる企業では、メンテナンスが追い付かなくなってしまうこともあるので、リソースの確保や情報提供など、管理職や経営層の協力も必須です。
適切に運用することで、新しいPCの購入時期を事前に推測できたり、ライセンス失効を防いだりすることができます。さらに在庫数などを正確に管理し運用できれば、在庫リスクや売上を改善することも可能です。
PC管理番号のつけ方
複数のPCを管理するのには、個々のPCに管理番号を付ける必要があります。しかし、その付け方はどのようにすればいいのでしょうか。
従業員の誰が見ても理解できる番号を振るためのポイントを紹介しますので、参考にしてください。
汎用的に使える番号にする
PC管理番号は、対応の記録や作業の記録において、必ずデータとして管理されます。そのため、社内で扱う機器については、すべての機器で同じ形式を採用することが望ましいです。
汎用的に使える番号を使用することで、データベースの構築も容易になり、管理するために貼り付けるシールの作成も簡単になるでしょう。
番号だけで何であるか推測できる
無秩序な番号の組み合わせでもPC管理自体は可能ですが、法則性がなければどこの部署で誰がどの仕様のPCを使用しているのか、すぐには判別できません。
例えば、前半3桁を部署に振り分けた番号、後半4桁を機器の種類毎の連番で埋めるなどのルールを定めるといいでしょう。ルール通りの番号をつけることで、番号に該当する機器の特定が容易になり便利です。
見分けがつきにくい記号と数字の混同は避ける
「!」や「!」、「q」や「9」など見分けがつきにくい記号と数字が混同していると、番号で機器を特定するまで時間がかかります。トラブル発生時にはスムーズな対応が求められるため、ひと目で機器が推測できる番号がいいでしょう。
記号は全角、アルファベットは必ず大文字のみ使用するというようなルールを決めておくと可読性もよく、認識の不一致を防ぐことができます。
PC管理をしないことで起こり得るリスク
ここまでは、PC管理を行う目的やメリットを紹介してきました。
一方で、PC管理をしないことで起こり得るリスクはどのようなものがあるでしょうか。企業全体の損失を避けるためにも、ぜひ確認してみてください。
ライセンス違反
ソフトウェアのライセンス数以上のインストールは、使用許諾契約に反します。
ライセンスに関する違反は、ソフトウェアの不正使用や不正コピーとみなされ、場合によっては損害賠償金などのペナルティが課されることもあるでしょう。
企業が積上げてきた社会的信用を失うことは、事業存続の危機につながりかねません。
セキュリティリスクが上がる
OSやセキュリティソフトの最新バージョンが各PCに適用されていなければ、サイバー攻撃の被害に遭う可能性が高まります。
一度ウイルスに感染すると、企業内の情報が漏れるだけでなく、ほかのPCへの感染状況の調査が必要となるため、通常業務への影響は避けられません。
また、社外への持ち出しルールを定めていないことで、従業員が勝手にPCを持ち出し、そのまま紛失してしまうという可能性もゼロではないでしょう。
IT資産管理ツールを活用するメリット
近年では、PC管理にIT資産管理ツールを活用することが多くなっています。PC管理を実施する企業にとって、ツールの導入は必須ともいえるでしょう。
ここでは、IT資産管理ツールを活用するメリットをみていきます。
システム管理者の負担を減らせる
PCをはじめスマートフォンやタブレットなど、企業が管理すべきIT資産は増え続けているため、システム管理者の負担は膨大です。しかし、そのために新たにシステム管理者を配置するには、企業のリソースやコストが余計にかかります。
自社の状況に合った適切なIT資産管理ツールを導入することで、管理コストを下げるだけでなく、業務効率化の面においても高いパフォーマンスを発揮するでしょう。
ヒューマンエラーを防げる
ツールを使う大きなメリットは、台帳の作成と更新、ライセンス管理やインベントリの収集など、さまざまなタスクを正確に自動化できることです。ヒューマンエラーが発生しやすい計算や入力ミスなどを防ぐことができます。
また、ツールは24時間稼働できるため、従業員の労働時間外に処理されたタスクの情報も収集することが可能です。逐一情報を集めることで、トラブルを早く発見できるため、セキュリティ管理も人間より的確に行えるでしょう。
おすすめのIT資産管理ツール
IT資産管理ツールを使用することで、担当者の負担を減らし、さらにはヒューマンエラーも防げることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
ここではおすすめのIT資産管理ツールを紹介しますので、導入する際は参考にしてください。
iTAssetEye
「iTAssetEye」は、NTTグループのNTTテクノクロスが開発・運用しているIT資産の台帳ツールです。
クライアント端末、周辺機器、モバイル機器、在宅勤務用のPCなどすべてのIT資産を一元的に管理することができます。
台帳更新に必要となる承認機能や証跡管理機能など、社内の統制を高める内部統制機能が充実している点が特徴といえるでしょう。
PCの不適切な利用や契約期限切れなどのITリスクを自動検知するため、管理者の工数を大幅に減らすことができます。
SS1
「SS1」は、株式会社ディー・オー・エスが開発・販売を手掛けるIT資産管理ツールです。
ソフトウェアライセンス管理、情報漏洩などのリスクを低減するセキュリティ対策など、あらゆる課題解決に利用できます。
2000年にパッケージ化されて以来、バージョンアップを定期的に行っており、誰でも直感的に操作が可能な統一されたインターフェイスが特徴です。
導入前から導入後まで専用スタッフが徹底サポートしてくれるため、安心して使い始めることができます。
SKYSEA Client View
「SKYSEA Client View」は、SKY株式会社が提供するIT資産の運用・管理ツールです。1,000万を超えるクライアントへの導入実績があり、信頼性の高いツールといえるでしょう。
特にセキュリティ対策に力を入れていて、社内ポリシーに沿ったアクセス制限、ログ管理、サーバー監視などさまざまな機能を有している特徴があります。
許可していないアプリのアクセスやインストールに対してはアラートを鳴らすなど、安全管理において有用です。
AssetView
株式会社ハンモックが提供するIT統合管理ツールの「AssetView」は、クライアントPCの情報を収集するだけでなく、設定コントロールやウイルス対策などを行ってくれます。
必要な機能やサービスのみ、必要なライセンス数のみなどミニマム単位で購入することもできるので、費用を最小限に抑えることが可能です。
「統合管理」を特徴として掲げており、管理に必要なサーバーを統合し、管理ツールやサポート窓口を一本化することで、高効率な運用が実現できます。
近年のPC管理にはツールが不可欠
情報漏洩やセキュリティ対策の観点から、PC管理は企業の社会的義務といえるでしょう。一方で、サイバー攻撃も巧妙化しており、防御が難しくなっているのも事実です。
ツールを導入してPC管理をした場合も、すべてが安心・安全というわけではありません。
しかしながら、ツールは担当者の作業負担を大幅に削減できます。また、管理の精度も格段に向上するため、効率的にPC管理するためには不可欠な存在です。
この機会に、ツールの導入も含め、PC管理について見直してみてはいかがでしょう。
PC管理でお困りなら「クラウドSE」
PC管理の重要性は理解しているものの、日々の業務に追われ、PC管理方法を見直したり、ツールの導入を検討したりするところまでリソースが確保できないということもあるでしょう。
「クラウドSE」では、専門スタッフによってスムーズなITツール導入が実現可能です。また、IT関連業務の代行もしているため、PC管理の人材を確保できないという場合もご利用いただけます。